NINJA
なんとか襲撃者の1人を始末する事が出来た。しかし
「(残る4人)」
武装、体力共に消耗し、手の内も知り尽くした今を見逃すほど奴らも間抜けでは無い。
「来るぞ、深海!」
「ええ!」
直後、夥しい数の鎖が360度全方位から一斉に襲いかかる。
「数は3つ!」
「了解」
深海は僕を抱えると垂直に飛び上がり鎖を回避すると、そのうちの一本に飛び乗り、跳躍する。
鎖達はそれを追い縋るように進行方向を変える。
直撃コースだけを弾き返し、腕に生やしたブレードを外壁に突き刺し、減速。
着地する僕たちに接近する影、あの時の剣士だ。
「させん!」
「何っ!?」
横から飛び出した影が剣士を吹き飛ばす。ゴリラを彷彿とさせる巨体に盛り上がった筋肉、とても見覚えのある後ろ姿。
「待たせたな、桐堂」
「先生!!!」
傘草先生が僕たちを安全に着地させるために駆けつけてくれていた。両手には小夜時雨の刀身と似た光沢の少ない鈍い銀色のナックルダスターが握られている。
「遅いわよ」
「主役は遅れてくるもんですからね」
「はぁ……2人は引き受ける。剣士は頼んだわよ」
「了解です」
頷き合うと、2人は僕を囲むように陣取る。
「来い、羽虫共!片っ端なら轢き潰してやる!」
「舐めるなァァァァ!」
「シェァァァァァッ!」
剣と拳が激突し、途轍もない衝撃波が全身を襲う。
「これが、対策部……」
「……残りの1人が見当たらないのが気持ち悪いけど」
そう吐き捨てると深海は両手の袖口から真っ黒な槍を射出する。
「流石は冥海の遣い。私たちの位置はお見通しというわけ」
「アメイジング!」
隠れ場を暴かれ、刺客たちが姿を現す。
「ここからは私も本気で行くわ」
深海は不敵に笑って死水で作った短剣の刀身を握りしめる。その直後、違和感と共に刺客の1人が倒れ伏す。
「六道死水」
隣にいる深海とはまた違う深海が死角の1人を小夜時雨で串刺しにしていた。慌てて瞬きをするとそこには深海の自傷した跡である血痕があるのみ。
「デコイか!」
もう1人の刺客も漸く状況を理解した様で、標的を背後の深海に移す。
「オウ!ニンジャ!ニンジャガール!」
「そういう貴方は鉄女ってとこかしら?」
「………盛り上がっているところ真に申し訳ないですが」
心臓を貫かれたもう1人が立ち上がる。だが様子がどこかおかしい。髪が逆立ち、目隠しを外す。
「ッ」
その目で見られた途端、深海の体が石の様に硬直してしまう。
「蛇眼か!」
すぐさま深海と鎖女の座標を入れ替え、深海を蛇眼の視界から外す。
「助かったわ、桐堂」
「ああ。だが、中々厄介だな」
同じ亜人でも能力ゆえに多少強さに差がある。その中でも特に強力な吸血鬼に蛇眼とは、今回は向こうもかなり本格的に攻めてきた様だ。
「逃しません!」
再び僕たちへ向けて眼光を放つが、それと同時に深海が投げた2本の短剣が蛇眼の両目を貫く。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「そう何度も同じ手を食うか」
視界を潰された蛇眼の顔面を蹴り上げると後ろから接近するもう1人と激突する。
ガバッ
「は?」
深海の素っ頓狂な声が聞こえた次の瞬間、女の口から強烈な熱線が放たれる。
「お前、機械兵か!」
「エグザクトリィ!」
右手が光線銃に変形し、僕に向けられる。が、熱線が放たれる前に真ん中あたりで切断される。
「ニンジャのくせにタフダネ!」
「知らないのかしら。忍耐の忍は忍者の忍よ」




