溺れる様な甘い夢
追撃を振り切れない。やはりこいつが、噂に聞く
「オルカ・ザ・リッパー……!」
「その名で呼ばれるのは久しぶりね」
目の前の女はほくそ笑んで槍を振るう。
「クソ、がぁぁぁぁ!」
全身の力を込め、押し返す。呼び出せる手持ちの眷属は既に破壊された。残された道は自分の手でコイツを仕留め、御子へと向かうのみ。
「もとよりお前も排除対象だ。順番が早まっただけのこと!」
「あらそう」
御子もそうだが、何よりコイツはオルキヌスの器。大型フォリンクリの中でも特に戦闘に特化した個体、いつ完全に顕現するかも分からない。出来ればここで始末したい。
幸い俺の方がスティタスは俺の方が上回っている。オルキヌスが出てきたら話が変わる可能性が高いが……
「(だと言うのに……!)」
何故、素のコイツに防戦を強いられている?学園のデータが偽装されているのは知っている。俺が把握しているのはそんなものでは無い。リアルタイムで計測する最新型、計算違いなんて事はない。
ガードをすり抜けた一刺しが肩を深々と抉る。
「くっ……!舐めるな……!」
槍を掴み、ライローを振るう。確かな感触、ついに
「それはこっちのセリフ」
顔面に衝撃が走る。
「(頭突きだと……!?)」
あまりの威力に武器を手放してしまう。そんな俺の顔面に、更に
「ごふっ!?」
踵が振り下ろされる。
なんだ、この動きは、この無駄の無い殺意のこもった体術は。なんとか起き上がると何処にも見当たらない。ハッとして振り返ろうとすると、その前に首に手を回され
「っぐっ!?」
「1番苦しい死に方って知ってる?」
気づけば足元に黒い水溜りが。シュミレーターで死水は再現されていない筈だが、それでもこれは
「溺死らしいわ。陸で溺れる、ふふっ、後で感想を教えてほしいわね」
「はな、せ……、っぐっ……」
こんな、奴に……!




