復讐鬼
テレサの襲撃以降、色々なことが起きた。
一つはこの学園都市の警備が強化された事。既に僕はこの土地で2度も命の危険に晒された。この変化はありがたい。
ただ強化されすぎて変装中の深海が街中を歩くだけで1〜2体ほど警備ドローンが寄ってくるようになった。
白髪の時は流石に検知しきれないようで、近頃は白髪でいることが多くなった。
「目立つから黒にしていたのに……はぁ」
最近は何人かが深海を見てソワソワしている。燕翔寺と並んで注目の的になってしまい、ため息も増えた気がする。
もう一つは……
「また、宜しくお願いします」
第一の襲撃者、甲本の復学だ。
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「で、何?」
「ああ、いや……」
僕の視線で察したのか深海はまたため息をつく。
「間違いなく本人よ。ただ……いや、何でもないわ。多分私の気のせい」
「………?」
とにかくこの前の触手の化け物に憑依されている、と言うことは無いらしい。良かった、何とか助かったんだな。
「本当、お人よしよね。貴方」
「そうか?」
自分ではそうは思ってなかったが。
「貴方のお友達全員に聞いたら全員同じ答えだと思うわよ」
「そ、そうか……」
「良い事よ。いずれフォリンクリから人々を守る救世主になるのだもの、そのくらい優しくないと」
「それは深海もだろ」
深海だって、日々フォリンクリと戦っている。オルキヌスのコアを持っているから何だ。彼女は僕達を何度も助けてくれた。しかし、彼女は首を振る。
「違うわ桐堂。私の目指す先は貴方とは似ているようで全く違う」
思い返せば、あることに気づく。僕を助けてくれた、と言うことに気を取られ、あまり気にしていなかったが
『ゴミ虫さん』
『腐って死ね』
フォリンクリに対する異常な程の殺意、侮辱。そして、半身のオルキヌスが見せるようなあの悪意に満ちた笑みを、深海も時折りフォリンクリに対して見せている。
貴方が人類を救う聖杯の器だとするなら、私はこの星を蝕む獣の器。
「私は、私を含むすべてのフォリンクリと、それを生み出した全ての者達をこの手で葬る。それが私の目的」
深海にとっては何気ない発言だったのかもしれない。どうかした?と僕を見ながらカフェオレを啜っている。
しかしその言葉一つ一つに僕は、深海のただならぬ覚悟。そしてそのうちに秘めた、決して消えることのない怨嗟の炎を垣間見たのだった。




