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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
疑惑と焦燥
64/108

再スタート






 朝、例の場所に行くと見慣れた顔があった。


「……桐堂?」

「えっと……おはよう」


 ここにも随分と来てなかったが、深海は変わらず毎日来ていた様だ。ベンチに座って本を読んでいる。


 それを知ってまた、罪悪感が湧く。


「傷は……まだ治ってない、よな」

「血は止まったわ。少し跡になったけれど」


 そう言って深海は左目を覆う眼帯を捲ると、そこには大きな切れ込みが深々と刻まれていた。他にも、腕や足、至る所に包帯が巻かれていた。


「すまない……」

「何で貴方が謝るのよ」


 はぁ、とため息をつくと隣に座る様、促され大人しく従う。


「今回、全面的に私に非がある。ごめんなさいね、偉そうな事言いながら貴方を1人にした」

「でも、1人なら1人で気をつけるべきだった」


 あの日、深海がいなかったとは言え傘草先生や他のメンバーも居た。学園内にさえ居れば僕が攫われることは無かった。


「怖い思い、したでしょ。護衛失格よね」

「………」

「所詮は殺戮人形、殺すことはできても護ることは出来なかった………」

「そんな事は無い」

「……?」


 深海がいなければ僕は入学直後に死んでいたし、手加減されていたとは言え、稽古をつけていてくれたからこそ、あの場で深海が体勢を立て直すまで、テレサ相手に時間稼ぎする事ができた。


「ならお互い様ね。………頼りない護衛だと思うけれど、また守らせてくれるかしら」

「何言ってるんだ。お前が居ないと文字通り死ぬぞ?」

「それはそれでどうなのかしら……」


 突然深海の手が僕の後頭部に伸び、そっと抱き寄せる。


「まぁ、そう言う事なら守ってあげないとね」

「全く手のかかる子だ。そう言うところも素敵だけど?」


 抱きしめる力が強くなる。この口調、オルキヌスだ。


「可愛いなぁ。食べちゃいたいくらいだよ」

「ひっ」

「オルキヌス」

「はいはい、冗談、冗談ですよ」


 そう言って再び深海に戻ると、手を離す。それが少し名残惜しく感じる。


「で、明日からは登校するのかしら」

「まあ、一応は」


 ただ学園には大江山がいる。少し気が引ける。


「私が守る。さっき約束したばかりでしょ」

「そうだけど……」

「メラノ達も待ってるわ。結局あれから会ってないでしょ」


 そうだ、深海だけじゃ無い。メラノさんも、皆んなが僕を助けてくれた。


「お礼、言わなきゃな」

「そ。今日は適当に言っておくから、明日からは来なさいよ」

「ああ。あと、そうだ。深海」

「……?何?」


 弱いままではいたくない。今後テレサの様な相手が来るかもしれない。それに


「また、稽古をつけてくれないか」

「良いけど……ああ、そう言う事」


 何より、あの大江山に勝ちたい。実力であいつを負かしたい。


「前よりも厳しくしていくわ。それでも良いかしら」

「望むところだ」

「………HRまでまだ少し時間があるわね」


 そう言って深海は袋から2本のダミーソードを取り出すと、片方を僕に投げ渡す。


「なら、早速稽古といきましょうか」

「え?怪我は」

「あら、この程度の損傷で私が貴方に負けるとでも?」

「ははっ、違いない」










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