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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
疑惑と焦燥
62/108

咲き誇る毒の花





 決着は一瞬だった。テレサが鎌を振り上げた時には既に、黒槍は深海の右手に握られていた。


「ごぶっ……」


 血を吹き出し項垂れるテレサ。構わず深海は槍を捩じ込む。もっと深く、奥まで。


「ばか……な……何故障壁を……」

「馬鹿はアナタよ」


 修復が終わりかけた足で立つと深海は槍を空に掲げる。


「っ!」


 その時を待っていたと羽を生やし、飛び立とうとするが槍の穂先が変形し、無数の棘がテレサの四肢を刺し貫き、羽をへし折りながら無理矢理折りたたむ。


「出力の有利があるとは言え、よくもまあ私の槍をこんな薄っぺらい壁で防げると思ったものね」

 

 そうか、深海の狙いは最初からこれだったんだ。死角を使った不意の攻撃や、メラノさんの人形を使った即席の地雷、ワイヤートラップ。そして、囮の小夜時雨。


 不意打ち、闇討ちを多用することで警戒させ、テレサに薄く広いバリアを展開することを強要し、出力の差を埋めたのだ。


「ぎぃ……うっ、ぎぎぎっ……」

「どうかした?………ああ、そういうこと」


 ビキビキビキッとテレサに青黒い血管のような筋が浮かび上がる。咄嗟に身構えるが、深海から大丈夫と告げられる。


「わざわざこんな大層な槍を作ったのもお前の障壁を正面からぶち抜くために過ぎない。何なら私はお前に触れるだけでよかった。何でかわかる?」

「…………?」


 思い当たることがないのか、それとも最早考えるような余裕がないのかテレサは何も答えない。それをみて深海は鼻で笑うと続ける。


「だってアナタ、前に一度私の槍を受けてるじゃない。しかも余裕ぶっこいてたせいでモロに。最初は傷もなかったし、動きも悪くなかったからてっきり毒も殆ど残っていないものだと思ってた。けど、毒ガスもそう、薄刃にもやけに警戒していた」

「うぼぇっ」


 浮かび上がった筋から黒い棘が飛び出す。


「しっかり残っていたのね。ほぼ全身に回ってるとは流石に思わなかったけれど、これは嬉しい誤算」


 また別の筋から黒い棘が。


「このまま一気に全部流し込まれたらどうなるかしら」

「ま、待ちなさ」

「弾けろ」


 深海が槍を握る力を強めた瞬間、まるで花が開く様に全身から棘が飛び出し、頭だけ残して木っ端微塵にしてしまった。








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