ミッドナイトチェイス
長い夢を見ていた様な気がする。暖かいものに包まれて、気づけば吐き気や頭痛、苛立ちも何もかもスッキリなくなっていた。
「(そうだ、僕はあのシスターに頭をかき混ぜられて)」
徐々に記憶が蘇り、そして目の前の光景が一気に流れ込んでくる。
「……なんとか、戻ってきてくれたみたい、ね……」
そう言って目の前の少女は僕と出会ってから一度も見せなかった微笑みを浮かべると、その場で崩れ落ちた。
「っ、深海!」
全身黒ずんだ血で濡れている。そして、あの声を聞きハッとする。
「あら、あら、あら」
「っ、お前は……」
「気がついてしまったのですね、御子。残念です」
あの時のシスターがケタケタ笑いながら立っていた。その足元にはまた知った人物の姿が。
「メラノさん!」
「………にげ……て……瑠花、ちゃん……」
その声に呼応するかの様に深海は全身から血を吐き出しながらも立ち上がると僕を肩に担ぐ。そして
「ま、待って」
僕の静止を聞かず、そのまままるでロケットの様に勢いよく駆け出す。
「口、閉じてなさい。舌を噛むわよ」
「っ………」
しかしそれをみすみす逃す奴ではない。背中から天使を彷彿させる翼を生やすと、深海に勝るとも劣らない速度で追いかけてくる。
「(いや、僕を担いでいる分深海より速い)」
それは深海もわかっている様で足先にブレードを形成し、接している地面をあの死水で覆うと、まるでスケートの様に滑り出す。
「(っぐっ……なんて、速さだ……!)」
これなら引き離せる。そう思った矢先、今度はシスターの周りを囲む様に光の玉の様なものが浮遊し始める。
「深海!あいつ、何か仕掛けてくる!」
「でしょうね」
直後、その無数の球体から光線のようなものが放たれる。そして脳裏に2人まとめて撃ち抜かれる光景が映る。直撃コースは……
「右!」
「ッ」
僕が叫び、それに応えて深海が回避すると先ほどまで深海が滑っていたコースめがけて光線が放たれていた。
「……指示は任せる。このまま突っ切るわよ!」
「ああ!」




