虚無
中に入ると儀式の最中だったようで、信者に囲まれあの女が居た。まだ気づいていない。今なら
背後に周り、抜刀。突然の刺客に信者たちは絶叫をあげる。
「おや?」
鞘から引き抜かれた刃が煌めき、首に届くその時、漸く奴は私の接近を認識する。
だが、もう遅い。その首貰った。
ガァンッ_______
「チッ」
剣と剣が激突する。鍔迫り合いになり、押し切られる前に横っ腹に蹴りを入れ後退させる。
「邪魔よ。退きなさい」
「少し早いですが、まあいいでしょう。続きはオルキヌス、貴女を殺した後でも問題無い。騎士様、その剣で悪を断ち切るのです」
あの女が騎士呼ぶソレは静かに剣を構え、信者たちは叫び声を上げながら四散する。
「(この構え、何処かで見覚えが)」
真正面から突進し、打ち合ったかと思えば私の背後を取ろうと回り込む。
「この動き……私と似ている……?」
露骨過ぎて対処は容易いが、斬り合いながらも蹴りや格闘で相手の体勢を崩し、隙あらば死角からの一撃を狙う。まるで私の戦法を真似ているような動きだ。
蹴りを上から被せて蹴り落とし、バランスを崩す。その隙に鳩尾に小夜時雨の柄を叩き込む。
急所を突かれた事で反射的に顔が前に来るのを利用し、体を捻って横っ面に蹴りを喰らわせる。
連撃をもろに受けたソレは体をのけぞらせ、剣を落とす。身につけていた兜が吹き飛び、完全に無防備になる。
「(取った)」
そのまま遠心力で叩き斬る。その時、顕になった目の前の男の顔を見てハッとする。
「なんですって……?」
それは夢現のように、虚な目をした桐堂だった。




