見えざる器
桐堂が失踪した。あらかじめ仕掛けていた発信機も何者かによって除去されていたようで、教室のゴミ箱に捨てられていた。
「チッ……」
やはり呼び出しに応じたのは間違いだった。応じたとしても連れていくべきだった。
彼は自分や私の正体を疑問に思っていた。危険性を鑑みて上は情報をなるべく渡さないように言っていたが、もはや彼は関係者。今更隠す必要もなければ、不安を煽るのは目に見えていた。
聖杯の御子と言えど、ついこの前まではただの一般人だった青年だ。
「しらみつぶしに探すのは、さすがに骨が折れる」
それにあの女、私のことまで知っていはようだった。口ぶりからして、私の生まれに関係していてもおかしくは無い。
手の内がバレている以上、私の力だけでは見つけることすら出来ない可能性すらある。現にあの時以降、常に音響探知を続けているが手がかりすらつかめていない。
「深海様、桐堂様は……」
「悪いけどまだ見つかってない」
「そうですか」
私がいない間に何が起きたかはあらかた燕翔寺から聞いた。やはりと言うべきか"別の派閥"も潜伏していたようだ。
最悪連れ戻せたとしても学園での環境が最悪。不幸が重なった結果か。つくづく間が悪すぎる。
「桐堂は私がなんとかするわ。貴女達は彼が戻ってきた時、迎え入れてあげて」
「はい。しかし……」
「どうかした?」
「い、いえ。何も」
燕翔寺も被害者だ。友人がいる分いくらか余裕があるとは言え精神的に追い詰められている。
外套を纏い窓枠に足をかけた時、突然携帯が鳴る。それはメラノからの新着メッセージだった。




