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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
疑惑と焦燥
50/108

天使





『ーー、ーーーー』

「・・・・・ええ、分かったわ。すぐ戻る」


 ピッ


 会議が終わり、学園への帰り道。車上で意外な相手からの通信を終え、通信機を切る。


「ふぅーっ」


 まさか、ね。


「誰からだったの?」


 そう運転席の紅葉さんからバックミラー越しに目を向けられる。


「傘草からよ」


 まさか、直接連絡寄越してくるとは思ってなかった。


「へぇー。で、何て?」

「あっちはあっちで緊急事態らしい。なんでもモニターの中継が切断され、中の状況がわからないのだとか」

「なるはやでお願いするわ」


 それを聞いて紅葉さんは笑う。


「さーて、もうすぐ着くよっ」

「ええ」


 橋をさしかかった所で制服と軍帽を脱ぎ、私用の帽子を被り、愛用のジャケットを羽織る。


 世界一の安全を約束された理想郷、化狩学園都市。ここからはもう敵地と考えて良い。


「妙なことに巻き込まれていないといいのだけど」


 脳裏にあの少年の顔が浮かぶ。弟子と言うにはまだ全然何も教えられていないけれど、割と今の関係を気に入っている。


 その時だった。


「「っ!」」


 橋が向こう岸に光が刺す。その上空には、人型の姿。次の瞬間、そこから照射される光に道路は穴だらけにされていく。


「チッ……!」


 車から飛び出し、バンパーに張り付く。そして死水で形成したチェーンアンカーを射出する。


 向こう岸に撃ち込んだのを確認し、紅葉さんに目を向ける。


「対ショック用意、いいわね?」

「りょーかいっ!」


 一気にチェーンを巻き上げ、向こう岸まで吹き飛ぶ様に到着する。


「紅葉さん、生きてる?」

「一応ねー。うへぇ、死ぬかと思ったぁ・・・」


 よろよろと車から降りてくる紅葉さん。相当なGの中、精密な動作を要求されたのだから仕方がない。


「覚醒者が2人……一人は貴女だったんですね。オルキヌス」

「………」


 慈愛に満ちたその目、胸糞悪くなるほど気持ちが悪い。今すぐにでも地面に引き摺り下ろしてバラバラにしてやりたい。


「私が分かりますか?」

「誰よ。貴女のことなんかちっとも知らないわ」


 ただ私の奥底に眠る半身がコイツは危険だと警笛を鳴らす様に震えている。


「(宿主。悪いことは言わない、逃げた方が良い)」

「(貴方は今は黙ってなさい)」


「グルゥアルルルル……」


 そして、珍しくあの紅葉さんも歯を剥き出しにして臨戦態勢に入っている。


「(瑠花ちゃん。コイツ、例の奴だよ)」

「(成る程ね)」


 コイツが、今日の会議で出てきた桐堂の護衛よりも重大な案件。どちらにせよ彼の障害となるのなら


「忘れたのですか?薄情ですね、オルキヌス」

「ほざいてなさいよ」


 小夜時雨に手をかける。


「奴はここで仕留める」






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