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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
疑惑と焦燥
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左腕





 ここでやらなきゃ、こっちがやられる。


「せぇぁっ!」


 距離を詰める大江山にロッカを振り下ろす。


 幸いな事にここは仮想空間。あまり気負いせずに攻撃できる。しかし、そう上手くはいかない。


「おせぇよ」

「うぐっ!?」


 バックステップによる急な方向転換で躱され、逆に右足を撃ち抜かれる。


 射撃で動きを止められた隙に、大江山は再び攻撃を仕掛ける。


「させません!」


 そこに燕翔寺が割って入る。レッセンで大江山の攻撃を弾き返し、そのまま爆炎を放つ。


「チッ、鬱陶しいな」


 燕翔寺の能力を警戒している。と言うよりも僕が燕翔寺の足を引っ張ってしまっている。


「はあっ!」


 今度はレッセンを地面に叩きつける様な勢いで振り下ろし、直線上に焼き払う。


「邪魔だからテメーには退場してもらう」


 その時、大江山はたまたま通りがかった駆竜の首を掴み、炎の中に放り込む。


「まさか!?」


 駆竜を討伐してしまい、燕翔寺は現実世界に引き戻されてしまう。


「一体、何のつもりなんだ」


 突然勝負しろだとか、全く意図が分からない。その質問に大江山はニタリと笑う。


「お前等が気に食わねぇ。それだけだ」


 気に食わない?そんな理由だけで。


 左目に痛みが走り、熱くなるが今はまだそんな事はどうでも良い。コイツは、一発殴らないと気が済まない。


「ふざけるのも大概にしろ、大江山……!」

「やっとやる気になったかよ、優等生」


「ああああああああああああああああああああ!!!」


 思いっきり地面を蹴り、急接近をかける。


「つっても」



「あんま変わんねぇな」

「ガッ……」


 右腕の感覚が無い。そして、腹部に激痛がやって来る。


「腫瘍の早期発見もそうだ。危険分子は能力が未熟な今のうちに始末するに限る」


 大江山はそう吐き捨てながら何かを拾い上げる。


 ロッカだ。それも腕の様なものが引っ付いている。僕の、腕だ。


「さて……」


 そして、大江山はロッカを逆手に持つとゆっくりと振り上げる。その時、何かがブチリと千切れたような感覚が全身を襲う。


「殺して、やる……!」


 左手をかざし、目の前の男を握り潰す勢いで手を握りしめる。


 ゴリィッ


「ガァッ!?」


 あろう事か大江山の右腕があらぬ方向に折れ曲がり、徐々に体が折り畳まれ始める。


「殺す、殺す……!」

「くっ、くひっ……このままだと俺が被害者って事になるな?」


 一瞬で大江山の意図を理解する。だが、もう抑えが効かなかった。


「あ、明日が……ゴボっ、楽しみだ……」

「いい加減死ねよ」


 大江山の煽りによって火に油を注がれた僕は大江山の仮想体を文字通り握り潰した。






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