飛燕と鬼神
焦げ臭い匂いと、とてつもない熱気。これは………
「燕翔寺、か・・・!」
突如として壁のように放出された蒼炎が大江山からの追撃を阻み、1人の少女、燕翔寺が僕の方へ駆け寄る。
「大江山様、一体どういうおつもりなのですか」
小さい体からとてつもない希薄が溢れ出る。思えば燕翔寺がここまで怒っているところを見るのは初めてだ。
「来たか。丁度いい、お前もまとめてかかってこいよ」
「お断りいたします!」
「チッ、お前もかよ」
苛立たしいとばかりに舌打ちし、足に力を込め始める大江山。
「んじゃ、また俺からな」
「逃げろ、燕翔寺っ……!」
またあの一撃が来る。燕翔寺まで奴の餌食になってしまう。
「いいえ、そうはいきません」
「はっ!」
僕を守る様に立つ燕翔寺を嘲笑いながら地面を蹴り、急速に燕翔寺へ接近する大江山。
「はぁっ!」
しかし、それとほぼ同時に燕翔寺も飛び出し、大江山の攻撃をレッセンで正面から相殺する。
「何?」
「わたくしを侮ってもらっては困ります」
そして、目にも止まらぬ攻防が繰り広げられる。
速い、速すぎる。大江山に一撃届きそうな速度。狙いも首や手首、関節などの急所。あの大江山が防戦を強いられている。
それに燕翔寺には一撃必殺の蒼炎がある。
「チッ、っぶねぇな。クソが」
「桐堂様には指一本触れさせません」
「あー、ウザいわそういうの」
距離をとったかと思いきや大江山は足を折りたたむ。
「(マズい・・・!)」
慌てて立ち上がり、燕翔寺の背後をロッカで守る。
ガァンッ
ハウンド同士が激しくぶつかり合う。強烈な一撃。危なかった。燕翔寺は攻めに集中しすぎて防御できていなかった。
すかさず僕が離れた瞬間、大江山に蒼炎を放つ。
「助かりました、桐堂様」
「いや、気にするな」
燕翔寺のお陰で十分休めた。また戦える。
「やるじゃねぇか優等生。もっと本気出して見ろよ」
「………」
交戦を避け、早くここを脱出したいところだが大江山がそれを許す訳がない。
やるしか、無い。




