鬼の子
昼休み。
「えー、じゃあ暁海ちゃん今日来ないのー?」
「まあ、そうなるな」
「ちぇー」
ふてくされる道尾。というより、昼食まで気付かなかったことに驚きだ。
「しょーがない、今日はメラノさんで我慢するとしよう!」
「え、わ、私……?」
一緒に昼食を食べにやって来たメラノさんが道尾の標的にされる。
「うえっへへへ……」
「な、何……?」
両手の指をワキワキとさせながらジリジリと距離を詰める。
「道尾様……」
「そっとしておこう燕翔寺」
「………そうでございますね」
この状態の道尾に近づけば瞬く間に餌食にされる。まあ、男である僕は例外だが。
「また楽しそうな事してんな。桐堂」
「楽しいか楽しくないかと聞かれれば楽しいが、そんなんじゃないって言ってるだろ」
僕の前の生徒の席にどっかり座る安良川を睨む。
「そんなに怒んなって!」
そういいながら安良川は僕の肩を叩く。
「……ふんっ」
そんな時、一人の男子生徒が苛立たしそうに鼻を鳴らす。それと同時に何か凄まじい殺気の様な気配を感じる。振り返るとそこには1人の男子生徒、大江山 竜が立っていた。
「………」
そのままその場を立ち去るが、その間もずっとこちらの様子を伺っていた。
「うへぇ、面倒な奴に目つけられたなー」
「面倒な奴?」
性格が、ということだろうか。「マジかー」と息をつく安良川。それほど有名なのだろうか?
「俺、アイツと小中一緒だったんだけどさ……まあ、結構過激なやつでな」
そう言いながら教室を出て、そっと耳打ちする。
「実習中にエンカしたら逃げた方がいい」




