暗躍
「いらっしゃいませー。あ、瑠花ちゃん!」
「………」
出迎える紅葉さんをあしらいながら店内を見渡す。
スーツ姿の男性だったり軍服を着た男性だったり、はたまた着物を着た女性だったりと様々な容姿の客が居るが、どれも見知った顔。
全員、本部のボケナス共だ。
「緊急招集って言うからわざわざ出向いたわけだけど……平日の、しかも学生の私を呼び出して何の用なわけ?」
「も、申し訳ございませんオルカさん……」
「謝罪は要らない。聞きたいのは要件だけ」
ペコペコ頭を下げる連中を払いのける。
「どちらにせよ私は命令に従うだけ。けど、桐堂廻影の護衛を最優先事項と定めたのは貴方たちよね?」
「っ………疫病神風情が偉そうに」
そう呟いた男の背後に周り、肩を掴む。
「何か言った?」
「ひっ……!」
「桐堂の守りを手薄にしてまでわざわざ私を引き戻して使いたいと。大層重要な要件なのでしょうねぇ?」
集結した役員たちをジロリと見回す。
「ごめんね、瑠花ちゃん。でも本当に今回は瑠花ちゃんの力が必要なの」
怯え切った役員たちに変わって紅葉さんが前に出る。
「………はぁ、わかってる。大事な要件なんでしょ?早く言って」
「うん。その件なんだけどね」
紅葉さんの表情からも笑顔が消える。この顔は久しぶりだ。メンバーもその圧迫感から空気が変わる。
紅葉さんが合図をすると後ろの方から秘書官が現れる。名前は確か……
「つい先日、【夜桜小隊】が奴を発見した。君が一度目撃したあの"天使"だ。傷は見られなかったが君が放った死水の毒を受けていた」
「……それで、何者かは分かったわけ?」
「ええ、それも貴方の予想通り………




