後始末
「(どうやら向こうは上手く行ったようだけど……)」
トドメを刺すまでが狩りだと言うのに、詰めが甘い。
「筋はいいけど、ハンターとしてはまだまだね」
桐堂もメラノも、それなりのポテンシャルがあるのに今ひとつ「殺意」が足りない。まあ今回の件でお互い良い刺激をもらったのではないだろうか。
「(それに、手間が省けた)」
外壁から屋上へとよじ登ろうとする機械兵、殺戮担当機に狙いを定め、引き金を引く。
銃口から放たれた閃光は迷いなく線を描き、頭部を穿つ。
一機撃破。これでもう一体が投入される。
虚空に穴が開く。そこには人型の物体が一つ。
「成る程、音がないと思ったら」
エレミュートを使ったフライトクラフト。光学迷彩まで使って、随分と彼にご執心なようだ。
桐堂達へと降下するその瞬間、頭をぶち抜く。漸く位置がバレたことに気づいたのか移動を開始する。
「けど、もう遅いわ」
その匂いは覚えた。両足に力を込め、一気に跳躍する。悲しいことに、彼らは"私がまだあの教室いると誤認している"。
六道死水。死水を用い、自らを傷つけることでこぼれ落ちた血と共に存在を置き去りにし、姿を消す権能。
私と言う存在はまだあの教室に取り残されている。
艦内から声が流れてくる。思わぬ妨害への怒り、敗北による焦り、危機を脱したことにやる安堵。海に出た事で安心してしまったようだ。
残念だけれど、生きながらえたのは私が人的被害が出ないよう海に沈めたかっただけ。
「バイバイ」
死水で形成した大槍で甲板をぶち抜き、切先から枝を伸ばすように死水を艦内に充満させる。怒りが消え、増える焦り、そして恐怖からの叫び、叫び、叫び。
「クッフフッ」
『ボクも人のこと言えないけどさ、君も大概だよね』
半身の声を無視し、沈みゆく姿の無い船を見送る。
「任務完了」




