ファニードールズ
「ん………ここは……?」
気づけば真っ暗な空間に横たわっていた。暗すぎて全く周りの様子が分からないが、風が無いあたりどこかの部屋に連れてこられたのだろう。
「目、覚めたみたいだね」
「っ」
声がして振り返るとそこには暗闇に二つ、怪しく光る赤い瞳が浮かんでいた。おそらくこの人が
「貴女がメラノ=リードリヒさん、ですか」
「よく私の名前が分かったね」
そりゃちょっとした有名人だし、とは言わずに今は様子を伺う。あの人形達を使役していたのがメラノさんだというのならこの人もかなり危険な相手だ。
なるべく事は穏便に済ませたい。
「何か用事でもあったの?忘れ物とか?」
「………いえ」
「ならどうして?わざわざ夜に来るなんて余程の用事が無いとあり得ないと思うけど」
もう正直に話してしまった方がいいかもしれない。そう思った矢先、何かが床に落ちる音が。
「ん、何かなコレ?」
メラノさんがそれを拾い上げる。ようやく目が暗闇に慣れてきてメラノさんの全体像が見える。
「あれ……?これ、無くしたやつだ」
「え?」
てっきりこの人形はメラノさんによって操られていたのだと思っていたが、どうやら違うらしい。そこでハッとする。
「メラノさん!今すぐそれから離れて!」
「え、あ、うん……!」
僕の声に驚いてメラノさんは慌ててその人形を投げ捨てる。次の瞬間案の定人形の口が裂け、メラノさんに食らいつこうとする。
しかし、その寸前で本物の人形達が一斉に姿を現しその人形を滅多刺しにする。
「私の人形の中に、何か別のものが紛れ込んでる……!」
「何!?」
僕とメラノさんを囲い、外敵から庇う様に人形達の円陣が組まれる。
「私から離れないでね。学園に紛れ込んだフォリンクリがいなければ、戦力を総動員できるのに……」
「フォリンクリ?」
「うん、君とほぼ同時に校舎にフォリンクリが侵入しちゃっててね……一応ここの生徒だと分かったから君だけはと思ってここに連れてきたんだけど、ごめん、むしろ逆効果だったみたい」
先ほどの人食い人形の他にも挙動が怪しい人形達がちらほら現れる。さすがにメラノさんの人形達の方が強いがまるで不死身であるかの様にいくら叩きのめしても何食わぬ顔で起き上がってくる。
そらに対してメラノさんの人形はメラノさんの操作によって動く。必然的にメラノさんが疲弊すれば操作に綻びが生まれる。
「しまっ」
陣形を突破した一体がメラノさんの腕に喰らいつく。
「くっ……!離して!」
振り解こうとするが人形は一向に離れない。そして、さらに集中力が低下し、陣形が崩されていく。その時だ
「ここか」
壁一面が吹き飛ばされ、敵味方まとめて瓦礫の下に生き埋めになる。
「桐堂、無事?」
「深海!!!」
崩れ去った壁の向こうから現れたのは僕のボディーガードである白髪の少女だった。
「僕は大丈夫だ、けどメラノさんが……」
「分かってる」
そう言って彼女はメラノさんの腕に噛み付いた人形を一瞬にしてバラバラにしてしまう。その手には先ほどまで持っていなかった刀が。
「仕込み刀を傘に偽装してたのよ。全く、持ってきていて正解だったわ」
どうやらあの人形達に深海の死水は効果が薄いらしい。
「どういう状況かよく分からないけれど、ひとまずこの羽虫どもを蹴散らすわよ」
「っ、ああ!」




