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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
オートマチック・ファニードールズ
33/108

ゴースト・パペット




 

 無機質な白い壁。

 夜の校舎の中は外観以上に怪しげな雰囲気を醸し出していた。当たり前だが人がいないというこの状況も無機質な不気味さを更に感じさせる。


「帰るなら今のうちだと思うけど」

「いや、大丈夫だ……気にしないでくれ……」

「………そ」


 それだけ言って深海は右手に持ったナイフをクルクルと回しながら先に歩き始める。例の刀は持ってきておらず、今日は使う気はないらしい。代わりに何故か傘を持っている。


 漫画みたいに先端から弾丸が出たりするのだろうか。


「………メラノ、ねぇ……」

「やっぱり知ってるのか?」


 さぁ?とはぐらかされてしまったが、目的地の隣のクラスまで先導してくれた。


 そのお陰か厳重なセキュリティシステムの筈である警備に一切引っかかる事なく目的地に到着する。


 そして……


「(居た……!)」


 月明かりに照らされた机達。その一つに例の人形はちょこんと座っていた。


「アレだ、深海」

「……………もう一回聞くけど、帰らなくて大丈夫?」

「愚問だ」


 こうなったら最後までやるに決まってる。


「ま、そこまで言うなら一回怖い目に遭った方が良さそうね」


 僕はそっと人形に近づく。


「………こんばんは、メラノさん」


 そう、そっと語りかけた時だった。何か様子が違う。いやそれよりも


「ガパァッ」

「ひっ!?」


 そして人形がパッカリと割れたかと思うと、そこには無数の白い鋭利な物体が。


「(口だ……!)」


 一瞬、フォリンクリかと思ったが学校にフォリンクリが出現するわけが無い。


 いくら他の生物達を超越した存在だからといって何もないところから突然現れるなんて、それだけは有り得ない。


「だから言ったのに」


 静かな呟きと共に飛来した2本のナイフが人形を串刺しにし、そのまま壁に貼り付けにしてしまう。


「そもそも普通、そんな得体の知れないものに近づくかしら」


 人形は暫くもがいていたが、刺さっていたナイフをさらに奥まで押し込まれ、やがて力尽きたのか元の何の変哲もない人形に戻る。


「た、助かった……すまん……」

「そう思うなら以後気をつけることね」

「ああ……本当にすまん……」


 こればかりは本当に僕に非がある。正体も分からない相手に近づくなんて不用意にも程がある。


 少々浮かれ過ぎた。


「………まあ良いわ」


 頭を下げる僕に対して深海は「もう謝らなくて良いから」と手を振る。本当に、気をつけなければ。


「それじゃ先急ぐわよ」

「え……?」


 「行くって何処へ?」という疑問の声が出る前に深海から言葉を被せられる。


「蜂と一緒よ。こういう雑魚はね、大体1匹殺したらそれを合図に次が来る。逃げるわよ」

「……!?」


 一瞬理解出来なかったが、その直後にまさにソレを目の当たりにする。


「人形が……!?」

「走れって言ってるの。ほら早く」
















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