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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
オートマチック・ファニードールズ
30/108

虚勢



 ヨタヨタと何とか教室に入る。


「(身体が、重い……)」


「桐堂様っ!?」

「おお、燕翔寺か。おはよう……」

「あ、はい。おはようございます。では無くて!」


 いつもはかなり大人しい燕翔寺だが、今日は慌ただしく僕の周りをぐるぐると回っている。


「なんだか今日はとても疲れている様に見えます。大丈夫でございますか……?」

「まあ、ちょっとな」


 早朝の事だ。僕は「鍛えてあげる」と言う現役の対策部である深海からの提案に二つ返事で了承、そして調子に乗って「平日は毎日」とか言った結果、この有様。


 はっきり言って駆竜と遭遇した時より恐怖を感じた。


「まさか、駆竜との戦闘での疲れが……?」

「いや、その……何と言うか……」


 女子。それも元普通科にコテンパンにされたとは言えないし、かと言って相手が対策部だからと言う言い訳は出来ないし。


「(何と説明すれば良いのやら)」


 考え込んでいるとまた一人教室に入って来る。


 深海だ。相変わらずカフェオレのパックを右手に持ってストローで飲んでいる。


「深海様っ、桐堂様が……」

「……?」


 チラリと僕の方を見る。


「桐堂が、何?」

「朝から、その、なんだか元気が無く……」

「………ああ、そゆこと」


 納得した様に頷く。マズい。


「待て深k「何か心当たりが……!?」」


 おそらく本人は全くその気はないのだろうが、燕翔寺の声に僕の静止の声はかき消される。しかし、深海からの答えは意外なものだった。


「ちょうど部屋が近いから狩猟科について色々教えてもらってたのよ」

「そういえば、深海様はつい最近狩猟科に変更したばかりでございましたね」

「そ。結構朝早くだったし、時間取らせちゃったからそのせいかも」

「成る程、そうでございましたか」


 燕翔寺はひとまず納得した様で、それなら良かったと胸を撫で下ろす。そして僕の方に向き直り


「お優しいのですね、桐堂様は」


 そう言って微笑む。かなり小柄な体格なのに、その微笑みが妙に大人っぽく、心臓の鼓動が早くなる。


「そ、そんな事は無いぞっ……!?」


 平静を保ち、自然な態度を取ろうとしたが若干声量のおかしい返事が出てしまう。


 が、深海は特に気にしていないというか興味がなさそうにいつもの読書を始め、燕翔寺は「流石です」とまた微笑む。


「(これはこれで、何と言うか……)」


 よく分からない恥ずかしさと罪悪感を感じるのだった。







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