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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
オートマチック・ファニードールズ
27/108

不安の種






 カーテンの隙間から部屋に、一筋の光が刺す。


 寝たフリをやめ、起き上がる。


「………」


 朝。エレミュートを使い果たし一度は真っ白になった頭髪だったが、今はツヤのある黒髪に戻っている。


「昨日は災難だったねぇ」

「……そうね」


 ジジッ、ジージジッ、ジジッ


 持って来ていたPCはもう使い物にならなくなってしまった。仕方なくテレビを呆然と眺める。


『朝のニュースです。今日未明、本土上空に多数の小型フォリンクリが確認されました。自衛隊や対策部が連携し、警戒に当たっていますが今のところ破壊活動は行われていないとのことです』



     レ サ チ タ ラ カ コ コ 




「………」


 本土の市民たちはこの様子を見て自分たちは優勢と捉えてるらしい。そして、その内ハンター達が自分たちの生息圏を全て取り返してくれると。

 

「能天気な連中だ」


 半身の言葉に静かに同意する。

 

『しっかし、最近は平和な日が多いですねぇ』

『ハンターの皆さんのお陰ですねー。人類が完全に解放される日も近いかもしれません。では、次のニュースです。見て下さい!このプツッ……」


「チッ」


 テレビの電源を落とし、リモコンを投げ捨てる。


 エレミュートによる体質変化やハウンドがあるにしても、もともと脆弱な生き物である人間に期待し過ぎだ。


 倒せて中型。


 現に各国のハンター達は大陸に鎮座する大型に関してノータッチ。湧いてくる雑魚をひたすら掃除しているだけ。


 あれらが本気に人類を滅ぼす気ならとっくの昔に滅んでいる。


 それに、頼りのハウンドにも欠点がある。


 未だにどんな物質か解明されておらず、そもそも安全性が保障された武器では無いこと。


 そして継戦能力の低さだ。粒子を使用しているためソードデバイスは展開するだけで徐々に消耗してしまう。

 ガナーデバイスも威力を上げれば上げるほど燃費が悪くなる。

 それに、いくら圧縮しても所詮人工的に無理やり固めただけのもの。ソードデバイスの様に形成し続けるならまだしも、発射して仕舞えばすぐ解けてしまう。水中では特に。


 幸いなのは奴らで水中で活動可能できる個体は一体しかいなかった事と、その個体も既に死滅している事。


 その個体こそ今私の体の中に眠る化け物なのだが。


「………これもあまり効果なかったし」


 足元に転がる球体を眺める。甲本の口中に詰め込んだモノと同型の兵器。エレミュート拡散力場発生装置。


 その名の通り、その場のエレミュートを一気に拡散させる事で爆発にも似た現象を引き起こし、フォリンクリのみを殺す兵器。


 未だキチンとした生成法も分からない謎の粒子に頼らずフォリンクリを始末できるかもしれない画期的な兵器だったけれど、えせフォリンクリすら殺せない様じゃ使い物にならない。


 開発部には悪いけれど、一から作り直してもらわないと。


 裏ポケットの空いたスペースに代わりのスモークグレネードを収納する。


 目眩しだけならこっちの方がよっぽど良い。


「さて、と」


 髪を下ろし伊達メガネをかける。いよいよ奴らは本格的に聖杯を奪いにくるだろう。それまでに出来るだけの準備はしておかなければ。




 


 








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