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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
秘めた力の片鱗
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チームワーク




 駆竜が姿を現したその時


「うおぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 僕はただ無我夢中でロッカを手に体当たりをする様に突っ込んだ。急な出来事に駆竜は対応できなかったのか僕もろとも洞窟の外へ転がっていく。


「はぁっ!」


 そして転倒した駆竜に燕翔寺は青白い炎を叩き込む。その圧倒的な破壊力に僕は耐えきれず余波で吹き飛ばされる。


「申し訳ありません、桐堂様……やはり制御が上手く……」

「大丈夫だ、燕翔寺。これなら2人で駆竜を倒せる」


 立ち上がり、再びロッカを握る。最初の1匹は僕と深海がここに来た時点では居なかった。それに、確実に仕留めたいならそれこそ深海の反応が間に合わないくらい超至近距離で出現させれば良い。


 が、相手はそれをしてこなかった。1匹目が始末されたあとさえも。なら必ず決まった出現ポイント、スポーン地点があるはずだ。


『後ろ、来てるわよ』


 耳元で聞き覚えのある声がして、振り返ると駆竜がすぐそこまで接近していた。


「っ」


 しかしその牙が届く前に駆竜の頭部が吹き飛ばされる。


「深海か!?」


 狙撃で僕を助けてくれた。どうやら僕を見捨てたわけではなかったらしい。


「何か策でも浮かんだかしら?」

「ああ、待たせてすまなかった。深海は今どこに?」

「……見晴らしの良い高台にいるわ」


 それはありがたい。


「深海、一つ頼みたいことがあるんだが」

「何かしら?」

「駆竜の出現位置を特定して欲しい。そこに燕翔寺を向かわせて」

「なるほどね」


 再びエレミュートのビームが放たれ、新しい駆竜がまた頭を吹き飛ばされる。相変わらず正確な狙撃だ。


「あなたに1番近い場所はそこ」

「燕翔寺!」

「承知いたしました!」


 駆竜の仮想体が構成されていく最中に燕翔寺はレッセンから青い炎を放つ。


「っ、ギッ……」


 仮想体が完成した瞬間、駆竜は燃え尽きてしまった。


 深海の言う通り、僕の作戦は駆竜の出現位置を燕翔寺の炎で焼き尽くし出現した瞬間に殺す、と言うものだ。燕翔寺の能力の炎は火力も絶大だが放った後も暫く残り続ける。これで手当たり次第潰していく。


「どうせ授業終了時点でこの仮想空間は消失、私たちは解放される。良いでしょう、その策に賭けましょう」


 要は時間を稼げさえすれば良いのだ。


「次はあなたから見て10時の方向、約50メートル」

「よし!」

「他の場所から湧いてくるやつは私が対処する。2人は湧き潰しに専念して」

「承知。ですが深海様お一人で、ですか?」


 そうか、燕翔寺からしたら深海は今日初めてハウンドを握るガチの初心者だ。


「安心して。こう言うゲーム、よくやってたから」

「なるほど……」


 天然なのか世間知らずなのか、人を疑うことを知らないお嬢様は明らかな嘘に騙されている。


 そうこうしているうちにチャイムと、それと同時にシュミレーション終了のアナウンスが。


 次の瞬間、眩い光に包まれ、僕は現実世界に引き戻されたのだった。






 

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