仮想現実
翌日、深海の言う通り早速実技の授業。それも対人戦の訓練が始まった。
「まずはこれを配る。受け取ったらすぐに腕に巻く様に」
そう言って先生は箱から取り出したソレを配る。そして、前から回されてきたのは腕時計の様な形状をした端末だった。
「(………ん?)」
指示通り腕に巻くと画面が壊れたゲームの様にピコピコ移り、変わり暫くして「パッ」っと止まる。
桐堂廻影 Level 3
・性別 男
・年齢 15歳
・分類 人間(無能力者)
・シュミレーション戦闘回数 0
「(Level……?)」
下四つは分かるんだが、1番上の名前の横に記されたLevelという文字が気になる。
「簡易ライセンスデバイス。まあ、車の仮免許みたいなもんだな。皆も気になるLevelと言うものだが、これはまあ、今のお前達の力量を数値化したものだ。お前達が強くなれば勝手に更新される」
先生のその言葉にワイワイと自分たちの数値を覗こうとする。人によっては5や6もあるらしい。
「(あまり高い方では無い、か)」
元々無能力なのだから仕方がない。少しショックだが、これから上げていけば良い。それに、深海が守るだけの価値があると証明するためにも。
「(そういえば聞きそびれたな……)」
結局あのあと気分が優れなくて深海に送ってもらった後はすぐ寝てしまった。本当なら僕が狙われる理由くらい聞きたかったのだが。
「(聖杯の御子、か)」
イマイチピンと来ないが、やれるだけやってやるさ。
「学生証と連携していれば色々と便利な機能が使える。興味があるやつは後で連携するように。では、着いてこい」
指示通り一斉に傘草先生が入っていった先について行く。そこは、殺風景な真っ白な廊下だった。
「自分の出席番号と同じ部屋に入れ。言わなくても分かってると思うが、ハウンドを持ってだぞ」
左右に部屋が並んでおり、入り口には数字が振られている。僕の番号は12番だ。
「(………よし)」
意を決して入る。そこは……
「(これは……!?)」
今度は殺風景な一室ではなく、木々や岩山、広大に広がる草原だった。
本物と何ら変わらない風の感触に、僕は唾を飲んだ。




