圧倒的な力
「どうやらハッタリでは無いらしい。ならアタシも本気をだそうかな?」
そう言って甲本はライローの取手の一つを勢いよく引く。
ブルルルルンッ
「(アレは……!)」
エレミュートで形成された刃が出現し、チェーンソーのように高速回転する。
最大出力。その威力は絶大だ。おそらく刀どころか校舎の強固な外壁すら溶断してしまうだろう。
「逃げるなら今のうちだけど?部外者さん」
エンジン音の様な音が響き渡る。次の攻撃は間違いなく最も強力で最速の一撃が来る。しかし、それを目にしても少女は俺の前を一歩も引かない。
「助けてくれてありがとう。でも、君まで巻き込まれる必要は無い。逃げてくれ」
「丁重にお断りするわ。それに大体、こう言う時って逃げきれないものよ」
「イヒッ!」
気づけば既に甲本は僕の方に接近していた。油断した、最初から甲本の狙いは僕から変わっていない。
「(マズい……!)」
ガァンッ
しかし、次の瞬間目に映ったのは宙を舞うライローと高々と振り上げられた彼女の足。
「はぁっ!?」
あの一瞬でライローを持つ甲本の手を蹴り上げた。流石の甲本も度肝を抜かれた様で呆気に取られている様子。
「貴女の相手は」
「ちょ、はぁ!?」
「私よ」
少女はそう甲本の制服の襟を掴み、腹に膝を叩き込み、そのまま腕を蛇の様に甲本の首に絡ませ、そのまま締めつける。
「あっ、がっ、かはっ……」
力任せに振り払おうとするが少女は離さない。そして
「召し上がれ」
「ムグゥッ!?」
謎の黒い物体を甲本の口に突っ込み、突き放す。
「弾けろ」
次の瞬間、甲本は突然の爆炎に消える。
「爆弾!?」
「こっち」
「うわっ!?」
少女は着地するなり爆発した甲本には目もくれず僕の手を引き校舎に駆け出した。
「な、なぁ……君はいった……」
教室に逃げ込み、息をつきながら質問する。
命の恩人ではあるが、こっちの少女も何者か不明だ。敵ではなさそうだが、実体兵装を使うあたりマトモな人間でも無さそうだ。しかし、言い切る前に指を口に当てられ、静止される。
「悪いけどその話は後にして」
少女がそう言った直後だった。廊下側の壁が一閃され、吹き飛ぶ。
「鬼ごっこは勘弁してくんない?」
甲本だ。あの爆発を受けて生きていた。それにさっきより明らかに怒気、殺気を感じる。
「能力者にしては随分とタフね」
少女は妙な事を呟き、先程の刀にゆっくりと手をかける。
「能力者だから、でしょ!」
甲本はライローを振り上げ、少女に向かって飛びかかる。しかし、少女はまだ抜かない。
「………」
「死ね」
ライローが振り下ろされる。その瞬間
「貴女がね」
抜刀。2人の少女が同時に交差する。
そして、何か硬い物が床に落ちる。
刃に回転を促すサーキュラーユニットと、白色のボディ。それは真っ二つに切断、破壊されたライローだった。




