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グレイル・フォース・アイズ  作者: 九六式
サマーバケイション!
106/108

迷い狐










 時花に襲われ時花に助けられるという変な出来事から2日後。合宿当日、僕たちは燕翔寺の家の車に乗せられ屋敷へと向かっていた。


 最初は深海と一緒にケートスで行くつもりだったが、燕翔寺の押しに負け僕と深海は大人しく従う事にした。


「ねねっ、瑠花ちゃん、智恵ちゃんのお屋敷ってどんなとこなんだろ!?」

「知らないわよ」

「めちゃ楽しみぃ〜!」

「くっつくな」


 ベタベタしてくる道尾を嫌そうに引き剥がそうとする深海だが、予想以上に力が強かったらしく中々振り解けない様だ。


「桐堂、笑ってないで助けなさいよ」

「ははは」

「っ……あとで覚えておきなさい……」


 恨めしそうに睨む深海だが道尾の捕縛を抜け出せない様は檻の中の猛獣を見るみたいで何だか面白かった。


 まあ、あとが怖いのでそろそろと安良川や燕翔寺の方へ逃げる。


「桐堂様、お飲み物はいかがですか?」

「じゃあ、もらおうかな」

「はいっ」


 燕翔寺が「お願いします」と一言言うと召使いであろう人が奥から出てきてコップを置くとジュースを注いでくれる。


 ありがとうございます、と礼を言うと会釈してまた奥へと消えていく。


「そういえばあのメイドさんは?」

「ああ、蜂須賀(はちすか)さんですね。今でもたまに顔を見せに来られますよ」


 やっぱりあの人、ちゃんとした召使いじゃなかったらしい。深海と顔見知りなあたりひょっとしたら対策部の人かもしれない。


 それよりも……


「………」

「………にへっ」


 さっきからずっとこっちを見てるキツネは何なんだろうか。燕翔寺に聞いてみても「あら?可愛いワンちゃんですね。ふふっ」と言うだけで特に気にした様子もない。


 召使いさん達は微妙そうな顔をしてるが、追い出そうとはしていない。


「へっへっへっ」

「うーん……」


 というか燕翔寺はイヌだと思ってることに驚きだ。あごを撫でると寝そべって腹を見せる。


「まあ、良いか」


 モフモフで可愛いし。わしゃわしゃと撫で回すとまるで人間の子供のようにきゃっきゃっとはしゃぐ。


 そんなこんなでいつのまにか屋敷に着いていたらしく、車が停車する。


「お、おお……」

「す、すげぇ……」


 その城のような姿に圧倒され、道尾と共に呆気に取られていると


「そんな所で突っ立ってると邪魔よ」

「あだっ」


 頭を叩かれ深海に連れて行かれる。

 

 ふと後ろを振り返るとさっきのキツネがこちらを見つめていたかと思うと、ヘッと笑うように舌を見せると何処かへと走り去ってしまった。


 あわよくば飼おうと思っていたのか、燕翔寺が残念そうに肩を落とす。が、結局あれは何だったんだろうか。













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