純白
学園都市に着いてからは深海の気分転換に付き合う形でドライブに連れていかれる事になった。
僕としても深海とのこう言った時間を割と気に入っているので悪い気は全くしない。
「そろそろかしらね」
「……何がだ?」
「それ、分かっていってるわよね?」
「………」
この道中、やたら白髪の人物とすれ違った。それだけじゃない。さっきからずっと視線を感じていた。
「姉……香織のことはともかく、時花をあまり信用しない方が良い。忘れてないでしょうね?傀儡は最初に誰を狙ったかを」
「………僕だな」
そう。警告も無しに市街地で一般人の被害も顧みず僕を、聖杯の破壊を狙った。
「この際言っておくけれど、アイツらはオルキヌスが気を引くために分身を出すまで、オルキヌスがいることにすら気づいてなかった。ずっと貴方を追っていたのよ」
それが何を意味するか。
時花の中には大江山の様に聖杯を快く思っていない連中がいるということ。
「時花も一枚岩じゃない。当主は確かに香織。ただ全員が全員、香織に従っているわけじゃ無い」
そうじゃなければ私は今、深海瑠花を名乗っていない。深海のその言葉が何よりも証拠。
「あくまで人の力で魔を狩る、か」
事実、時花香織は最強のハンターというだけではない。ハウンド無しでフォリンクリを狩る異色のハンターでもある。
「今思えば縁を切っといて正解だったかもね。相変わらず、うんざりする」
「深海……」
「………愚痴ばかりでごめんなさいね」
「いや、良いんだ」
しかし、覚悟していたこととはいえ御子というのは敵が多いな。まあ深海や紅葉さんが味方をしてくれているだけまだ救いがある。
「楽しい旅行が長くなったと思って、気分を入れ替えよう」
「……そうね、それが良いかも」
フッと笑って深海はケートスを停める。気づけば寮に到着したらしい。
「私も久々に羽を伸ばそうかしらね」




