33 目には目を 歯には歯を だったら悪意には悪意を。
生徒会長による『家族ってやぱり大切だよね作戦』で理事達の息子、娘、孫らを人質に取って学園に来るように要求して一時間が経った頃だった。
校門で待っていた会長と委員長と秋人、烈、稜姫は理事らを出迎えた。
胸元まで伸びる白い顎鬚が特徴の老人が一歩前へ出る。
「やれやれ、やってくれるのぉ」
「桑井理事、やってくれたのは理事会の方でしょ。予算削減なんて認めないもん」
「これは子供の出る話ではな無いのだがね」
「でも……生徒には権利がある」
「それにあんた等がしっかり資金をやり繰りしてクレてりゃ問題なかったんだよ」
「烈、それ少し言いすぎじゃないか?」
「秋人、それくらい言ってやらねば気付かんよ」
各々言いたい放題言っている。
まぁさすがに長生きしてるだけあって怒っている様子はないが、呆れた顔で桑井理事の後ろから五十代ほど男性が前に出てきた。
「君らには関係のない話なんだ。養われている身分なのだから『こういう問題』には口を出すな」
「重井理事か、貴方こそその養われている身分の者のお陰で今の地位がある事を忘れないで欲しいものだ」
「『切り裂き姫』、言ってくれるじゃないか。能力を使えるのは私も同じなんだがね」
「ふん、貴様を今すぐにでも断罪してやろうか、老害!」
ヒートアップしてきたので、稜姫は委員長に、重井は桑井になだめられ、口撃は沈下した。
「さて、話し合いでは解決できないと儂は思うが……生徒会長はどう思うかね?」
「同意見で~す」
「できれば戦いたくないんじゃがな、老体には堪えるんじゃよ」
「じゃあ、理事会が折れてくれれば済むね♪」
「それは無理じゃよ、だから」
「「戦争をしよう」」
瞬間、空間が悲鳴を上げる。
この場にいる一人一人の覇気に当てられて、世界に矛盾が生まれようとしている。
「う、キツイ」
「そう、ね」
秋人と烈は地面に四つん這いになる。
「気を失わないだけでも凄い事だぞ?」
と稜姫が片膝を突きながら両名に声をかける。
「さて、おじいさん・おばあさんに手を上げるのはどうかと思うけど」
「やらせてもらう……ッ!」
生徒会長は紅いオーラの様なものが身体から発せられ、
委員長は蒼色のオーラの様なものが身体から発せられる。
「ほぉう、これが『精霊』の力か。興味深い。しかし、『悪魔』を侮るでないぞ?」
今度は理事たちが黒いオーラを発し、肌が真っ黒に染まり、目が赤く光っている。
「これ、何てファンタジー何ですか?」
「知らん、私が聞きたいくらいだ」
烈は目を輝かせて見入っている、四つん這いだが。
まぁ確かにこの光景は忘れたくても忘れられない光景で、
恐怖も感じれば、憧れという感情も抱くだろう。
事実、秋人も恐怖し、憧れもしている。
ドクン。
秋人の心臓は鼓動を高める。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン!
『あの程度の力に憧れるのか? 俺』
! 久しぶりに出てきたな
『あぁ、俺gたオレを求めたんでな』
? 誰も求めてないぞ?
『おいおい、酷い事言ってくれるな。今お前は力を望んだろ?』
まぁ確かにそうだけど。
『それがオレだ。力=オレ、願望=オレだ』
なんだそれ、無茶苦茶だな。
『それがオレという存在だ。で、どうだ? 力を望むか?』
……俺は―――
―予告―
VS理事会編 第五話
秋人がオレに望む物とは? 『精霊』『悪魔』の意味は?