表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/36

26 男なら正々堂々と。 (前)

今話は烈視点です。

まったく、なんで秋人の方が私より早く…あ~ もう!


なんて私は腸が煮えかえりながら三回戦の会場に向かっていた。

会場は森林エリアの第三ブロック、木々が生い茂っている。


「遅せぇーんだよ、女ぁ!」

「うるさいな~ まだ五分前だろが、あんま五月蠅かったら灰にするわよ?」


手に炎を灯して脅してみるけど、ふぅん。と鼻で笑われてしまった。

なかなか楽しませてくれそうじゃない。


「私はもう準備できてるけど、どうする?」

「おいおい、男から殴りかかれってか?」

「それはレディーファーストって意味?」

「もちろん。俺は紳士だからな」

「笑わせないでよ!」


炎弾! 


しかし男はヒラリと半身で炎弾丸を避ける。

それでも私はすかさず炎弾を追加、追加、追加、してるのに男はダンスでも踊るが如き動きで避けている。


「デカイ口叩いといてこの程度か~」

「なにお~!」

「今度は俺の番だな」


そう言って地面を一蹴りすると、秋人の様に一瞬で目の前まで来た!


「くっ」

「歯ぁ~ 喰いしばれよぉ!」


ドンッ!


鉄球でも直撃したかと思うほど重い一撃が腹に入った。


「グハッ!」


吐血。

臓器でもやられたのか、口から血が溢れだしてくる。

気のせいか意識まで…薄れて……来たような。


「もう終わりかよ」


その言葉で私は意識を繋ぎとめる!

ムカついたから!


「…るなよ、なめるなよぉ!」


炎を灯した拳を男の顔面目掛けて振りかぶった。

だけど、私の拳は空を切った。


「お~っと 危っねぇ~」


三メートル離れたところで額の汗を拭ってやがる。

なんて速さだよ。


「スゥー はぁー」


私は深呼吸をしてリラックスする。

こう言う時は冷静になれって秋人に言われたからな、案外アイツの言う事は当たるし、何よりも強いからな、だからアイツの言葉は聞き逃さないし、アイツの真似だってするさ。


私は近くにある木の枝を折る、それなりに太いヤツを。


「剣のつもりか?」

「いや、刀さ」

「どちらもそんなに変わんないだろうに」

「意味が変わる」

「そうかよ」


男はボクサーの様に拳で勝負してきた。

こいつは肉体強化系か、なんて結論に至りながら拳を木の枝で流す。

でもニ、三発目であっさりと折れた。

私の取る行動は一つ、口から火を吐いて男をけん制して私は大きく後ろに引き、


「炎帝…召弾!」


私の中で最高クラスの技を繰り出す事だ。


「なぁ!」


ボウッ!


と炎に呑み込まれた。


「死なない程度に加減してあげたから感謝しなさい!」


私は胸を張って言う、勝ったのだから勝者として当然の事だ。


ブスッ!


その音が聞こえると私は腹部に違和感を覚える。

なんで熱いんだろう?

そんな思いを抱きながら私は自分のお腹を見て驚いた。

自分の腹の光景を見て私の顔は強張る。


「まだ…しぶとい……わね」


木刀とあまり大きさが変わらない枝が刺さっていたのだ。

私はあまりの激痛に膝をつき、腹部辺りを探りながら声を殺す。


「ビビったぜぇ~ 肉体強化だけじゃ間違いなく負けてたよ」

「……まさか」

「そう、俺は二重覚醒者レアケースなんだよ」

「まだ残って…たの」

「まぁな、戦いを楽しむために今までは肉体強化だけしか使わなかったんだ」

「……」

「さて、第二ラウンド。行けるか?」


私は無言で笑いかえす。

「もちろん!」という意味を込めて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ