24 女心は秋の空 っていうか山の天気かな。
俺はネームバッチを渡し見事一回戦突破、軽く食事を取ろうと中庭のベンチに腰掛け寛いでいると、烈が弁当を持ってやってきた。
―中庭―
「なんだ。秋人もメシか」
「あぁ、少し腹減ったからな」
「どうだった?」
「楽勝~ お前の方は?」
「同じく楽勝だった」
隣に腰掛け、弁当を食べ始める烈。
パク、パクとおいしそうにおかずを食べている。
「なんだ。欲しいのか?」
「い、いや、そんな事ない」
「顔も知らない人間が作ったメシより、顔見知りの作ったメシの方が上手いと思うぞ?」
「うっ…k、くれるのか?」
「…あげるわけないじゃん」
せっかく勇気を出して言ったのに!
やっぱりこうなるんだな!
毎度のことながら、やはり堪えるな。
しかし、俺が何の行動もしないと思うなよ。
今まではお前の方が圧倒的に強かったから行動しなかったんだ。
今の俺は化け物並みに強いんだ!
やってやる、やってやるっぞォォ!
俺は烈が箸で摘まんで口に運ぼうとしている卵焼き目掛けて手を伸ばす、
目にも止まらぬ速さで。
「取ったぞォォ!」
「何を?」
「へっ?」
手に取ったものをよく見てみると、石ころだった。
少し固いな~ と思っていたがまさか石だったとは、っていうか見えてたのか!?
「見えてないわ、読んだだけよ」
心を読んだというのか!?
読心術の心得があるとは、幼馴染やってたが気付かなかった。
「読心術の心得なんて持ち合わせてないよ」
「……いや、もう完全に読まれてるんですけど」
「私が持っているのは人心掌握術よ」
黒い、黒いですよ女王様!
「つーことは何か、俺って操り人形?
…笑えねぇーよ! っていうか俺という人格は造られたものだったのか!」
「…軽い冗談なのに」
「軽くねぇーよ、お前の言う事冗談に聞こえないからね! 現実味があり過ぎて重いんだよ!?
そこんとこ自覚しようよ!」
「まぁそんな事より」
「俺の危機はそんなことですか」
「お、お腹一杯だから、アンタに上げるわよ!」
「こ、今度はツンデレ!?」
もうお前という奴が俺には分からなくなったよ、烈。
あぁ、神様。なぜ貴方様はこの様な複雑怪奇な人間を誕生させたのですか?
「おいしかった?」
「あ、あぁ」
もう混乱し過ぎて味が分かんねぇんだけど、
こんな緊張初めてだよ。
「お知らせです。待機番号1番から16番は校庭へ、17番から32番は森林エリアへ、33番から48番までは山岳エリアへ、
49番から64番までは広域戦闘場へ移動してください」
と校内アナウンスが流れた。
「さて、行きますか」
「そうだな。秋人、負けんなよ?」
「誰に言ってんだ? 俺が負けるわけねぇーだろ」