23 体を鍛える前に心を鍛えよ。
今話は烈視点です。
―プール―
今私の前には見るからに戦いがいのあるヤツがいる。
身体は引き締まっていて、バランスの取れた体格だ。
「名前は?」
「俺は堤 悠哉」
「私は―――」
「言わなくても分かる。岩裂 烈だろ? 有名人だ」
なかなか嬉しい事を言ってくれるじゃねねぇーか、
でも、私の話を途中で遮ったのは気に食わない。
「レディーファーストだ。一発いいぞ?」
「へぇ~ 余裕ね」
「まぁな。力を思う存分使えるんだ、負けるかよ」
「言うわね」
さて、こいつは本当に強いのか、力に溺れたバカか、どっちかな~
私的には前者の方が嬉しんだけど、秋人なら後者の方がイイって言うんだろうな~
ホントあいつは強いくせいして謙虚というかなんというか、とにかく弱気なのよね。
……いやいや、今はあいつの事考えてる場合じゃないか。
「じゃあお言葉に甘えて、行くわよ」
私から堤までの距離は五メートルってとこかな、
にしても、もうプールに水張ってるんだ。
横にプールがあるのに泳げないってのは何かもどかしいわね。
私は炎を拳に灯して接近戦を仕掛ける。
が、
バシャン!
私はずぶ濡れ、上空からいきなり水の塊が落ちて来たのだ。
おかげで炎は消え、服も濡れた。
「あーあ、夏服だったら透けてたのに、ずこし残念だな」
喧嘩売ってる? 売ってるよね? いいわ。買って上げるわよ!
瞬間、私の体に炎が纏わりすぐに乾く。
「少し頭に来たわ、本気で殺るから」
「炎が水に勝てるとでも?」
この言葉を聞いて私は思い出す、あのクソ野郎の事を
『炎では水に勝てませんよ?』
思い出しただけでもイライラする、あのクソ野郎はあの時本気じゃなかった。
まだ何か奥の手を隠してやがった。それに、あの笑みが…癇に障る!
「お前、終わったよ。あのクソ野郎に似てるからな」
「クソ野郎? 誰だ」
「お前みたく水を操るクソ野郎だよ」
「へぇ~ でも俺は水を操ってはないよ」
「超能力系統…サイコキネシスってとこだろ、それでも水を自在操れるんだから意味は変わんないでしょ」
堤は自分の能力を当てられたからだろうか、少し驚きの表情を浮かべている。
これくらい風紀委員たる私には見当がつくんだから、それほど驚く事ではないと思うんだけど。
「さて、昨日の夜さ。私考えたんだよ…新しい虐め方をさ」
私は上着の内ポケットからアルコールの入った薄い容器を取り出す、そして蓋を開けて堤目掛けて投擲。
見事アルコールは空中で辺りに飛散する。
「これ…アルコールか!」
「ご名答、これ私が炎灯したらどうなるか分かる?」
「お前も巻き込まれるぞ!?」
「自分の炎は熱くないから平気、それに言ったでしょ? 殺るってさ…」
「こんなの水で流せば」
プールから波が突如発生し、床を水浸しにする。
「甘いわね、着火♪」
水面が燃える。
アルコールと水は混ざらないのだから、それに私は着火もできるし炎を操る事も出来る。
だから
私は指を指揮棒みたく振り炎を操り、プール一面を火の海にした。
「これくらいでどうした。俺が水に触れなければい済む話だ。それに水が操れなくなったわけじゃ―――」
「あー はいはい。もうアンタの負けは決まったのよ」
堤は? を浮かべる。
全く、無能とはこの事だな。
私はプールに指向け決着の言葉を放つ、
「灼熱の洗礼」
次の瞬間、炎は紅く、紅く燃え上がり水を水蒸気へと変えてゆく。
その光景に堤は目を見開く。
「誰が炎は水に勝てないって? 水なんかね、蒸発させたらお仕舞いなのよ!」
蒸発完了。
「さて、どんな風に虐めようかしら。火炙り? 皮膚剥がし? それとも…ふふふ」
「やめてー!」
十分後。
「ネームバッジは頂いたし。新しい手法も試せたし、今日は良い日ね」
私は鼻唄交じりに開催本部へ向かう。
その後、水の張ってないプールから白目を剥き、精神不安定な少年が発見されたとか、そうでないとか。
どうでしたか?
作者的には自信ゼロです。っていうか烈というキャラが正直分からなくなってきました…ヤバイな。