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02 甘い話には乗るなって言うけど、現実そう上手くいかないよね。

「あのー まだ名前聞いてなかったですよね?」


俺の声は部室棟の廊下に響いている。

そして俺の隣には太刀を腰にぶら下げた女子生徒が一人共に歩いていた。


「そうだったか? 私の名前は山本やまもと 稜姫いつき二年生だ。よろしくな」

「はぁー よろしくお願いします。それよりこの学校は何なんですか?」

「さぁー 私もよく知らん」

「よく知らんって、その太刀は?」

「あぁこれか、これは自身を守るための武器だ」


凛と稜姫先輩はそう言う。


「あの暴力みっ、じゃない。あの巫女さんは一体何者なんですか?」

「あいつの名前は正直知らん」

「知らないんですか!?」

「こんなに生徒が多いんだ。自分のクラスの奴を覚えるだけで精いっぱいだ」


確かに、1000人と1人を誇るんだからそりゃー無理あるか。


「通り名くらいなら知っているがな」

「通り名?」


まさかこのご時世にそんな古風な物がまだ生息していたなんて。


「そう、『誅戮の巫女』(ちゅうりくのみこ)というんだ」

「誅戮……罪ある者を殺すって意味か…えぇ、殺す!?」

「そうだが、それがどうかしたか?」


いや、どうかしたかって。

そんな通り名が付いてるって事は、もうすでに何人か殺られちゃってるって事じゃないですか!

なんでそんな人が平然と学校に登校してるの!

警察ゥゥ! この税金ドロボーが!

ちゃんと仕事しろやァァ!


「おい、顔色が悪いぞ。保険室にでも行くか?」

「いえ、お構いなく」

「そうか、それよりお前も気をつけろよ」

「へっ?」

「誅戮の巫女に目を付けられたんだ。常に背後には気を配れよ」


えっ、それってまさか、闇打ち? 

……死ぬよ俺。


「まぁ私も居るし、大丈夫だろうとは思うんだけどな」


あっはっは、と高らかに声を上げる稜姫先輩。

私も居るって、クラスどころか貴女とは学年も違うでしょ。

一年の俺をどう守るっていうの。


いや待てよ、いるじゃないか!

俺を守ってくれる頼りがいのある幼馴染が、女王様が!

すぐ隣にいるじゃないか!

あぁヤベェ、あいつが女神様に見えてきた。


「さて、そろそろチャイムも鳴る頃だろうし、ここで一旦お別れだな」

「あぁ、そうですね。っていうかこの刀持ってなきゃダメですか?」

「当たり前だ。私からの贈り物だし、それに死にたくはないだろう?」

「…はい」


俺に選択肢はないって事ですね。えぇ分かります。



―1年F組の教室―


教室に戻るとチラホラと空席が見える。

まだ帰ってきてないのか、もう帰れないのか、

想像する事を俺は躊躇わずにはいられない。


「俺はきっと運のいい人間だったんだな」

「何をブツブツ言ってんの?」

「いや別に、それよりも烈は校内見学してこなかったのか?」

「そんなの必要ないでしょ、っていうか秋人。

 その腰にある物は何? コスプレ?」

「えっ! あぁコレは」


はっ! 俺は急いで視線を烈の顔に戻す。


……笑ってる。ドSの笑みだ。


俺は自然と冷や汗を掻く。


「へぇ~ 秋人君にそんな趣向があったなんてねぇ、

 なんでもっと早く教えてくれなかったのかな~?」

「いや、その。あのー これには色々と事情があるというか、なんというか」

「うふふ」

「ちょ、まっ」


黒い笑みを浮かべて俺に迫って来る烈、とその時。


キーンコーンカーンコーン。


チャイムが鳴った。

それは救いの音色だった。


そしてまた不良教師の登場。


「は~い。さっきは自習なんて書いちゃってごめんね~

 校長先生に叱られちった。んで、めんどくせーけど、先生から皆さんに伝えたい事があります。

 もう気付いてる子もいると思うけど、ウチは異常者がウロチョロしてると~っても危険な学校なんですね~

 だから、死にたくない奴は先輩に媚売って部活に入れて貰いなさい。そしてらまぁー少なくとも一月は生きてられるから、あとこの事部外者に漏らしたら、もれなく天国へ連れてってやるから、そこんところ覚えておくように。以上話終了~」


生徒は皆、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしている。

無理もない、いきなりとんでもない事口にしたからなあの先生、

俺も最初見た時は常識っつーメガネを粉々にされたからね、無理もない。


と、ここでなぜ俺がこうも冷静でいられるか、理由をお話ししよう。


そう俺はついさきほど、鍛冶屋と書かれている部室で稜姫先輩より刀を貰った。

ってことはだ。稜姫先輩の部活に入れて貰えたという事でまず間違いないと思う。

だからこうも冷静でいられるのだ。


「なぁー 烈。いい先輩教えてやろうか?」


俺は初めて烈より優位に立てると踏んで声を掛け、烈の方を見てみると、


燃えていた。


「ふっふっふ。面白い、面白い! 私の血が騒いでるぞォォ!」

「あー ドS心に火が付きましたか」


ホント、お前一人でも難なく過ごせそうだな。

っていうか、お前ってもしかして多数派?


「ヤベェー やっぱこいつは悪魔だわ」



―休み時間・売店前―


俺の目の前では銃を持った少女と剣を持った少年がバトってる。

格ゲーもビックリの光景だ。


銃弾を斬ったり、剣を紙一重で交わしたり、

非日常・非現実が目の前にある。っていうかその中に俺はいるんだよな。


売店はさっきの休み時間ほど混んでなく、難なくパンとフルーツ牛乳を買えた。

入学式のあとにすぐ授業があるのは進学校だからと思ってたけど、

この事実を伝える為だったんだな。


っていうか、これって詐欺じゃねぇ?

あー なんかもうどうでもよくなってきた気がする。


「おい」

「あぁ、先輩」

「説明は受けたな?」

「えぇ、まぁ」

「じゃあウチに入らないか?」

「そうするしかないでしょ?」

「そうだな。うんそうだ、さっそく行こうか」


そう言って先輩は俺をつれ、校舎を上がる。


あれ? 鍛冶屋は部室棟にあったよな?

なんで校舎を上がるの?


なんて思っていると、着いたぞ。と先輩の声が聞こえる、そしたら目の前には立派な木製のドアがあった。

そしてそのドアに埋め込まれているプレートにはこう書かれていた。


「ようこそ『風紀委員会』へ!」


やっぱ俺って、不幸なんだな。

やはり相変わらず文法に不安が残る月冴つかさです。

今回は少し説明話という風に書いてみました。

未熟な部分多々あると思いますが、読んで頂きありがとうございます。


次話は今回説明できなかった部分を説明したいと思います。

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