18 ネチネチしつこいと、痛い目見るぞ。
閑話、ストーカー撃退編 始まります。
生徒会の一件から早一月、俺と烈は風紀委員会で目覚ましい活躍を見せて、
学園内で知らぬ者はいないと言わしめるまでになった。
だが、先輩方からはまだまだ"ひよっ子の新人"という扱いだ。
―1年校舎・風紀委員事務室―
「烈~ 報告書まだか?」
「ちょっと待って、今書いてるとこだから」
「それ十分前にも聞いたんだけど?」
「うるさいわね! アンタの分までやってんだからね!?」
怒りの剣幕で俺に鉛筆を投げる烈、俺はそれを人差し指と中指で挟んで止め、そのまま投げ返す。
「文房具は武器じゃないぞ~」
「分かってるわよ!」
ブン。と腕を振るって見事キャッチして再び報告書との戦いを始める。
なぜ烈が俺の分まで報告書を処理しているのか?
それは至って単純な事だ。
それは少し前に遡る。
互いに不良君を捕まえた帰りに売店の前で会い、烈が「報告書書くのメンドイからおみくじで悪い方引いた方が相手の分も書くってどうよ?」と俺に提案したのだ。
烈はどうも今朝の占いで自分が一位、俺が最下位である事を知っていたらしく、自分は今日ツイてる。と過信しての事だったらしい、結果はというと俺は大吉、烈は大凶だった。
さすがにこの時の烈は激しく落ち込み、売店のショーケスを破壊してしまうほど取りみだした。
まぁ、その始末書も+されて今書類との闘いに奮闘している。
「自業自得なんだからな~ 俺は悪くないぞ~」
「あー うるさいな! そんな事は分かってんだよ!」
と、今度はマグカップを投げてきた。
「物を投げるのは止めとけよ。これも一応備品なんだから始末書が増えるぞ?」
そう言って俺はマグカップを投げ返す。
「ふん。余計な御世話だ」
そう言いてマグカップを取ると、立ちあがりコーヒーメーカーでコーヒーを注いで一口。
「それにしても、今日は結構な人数捕まえたな」
「確かに、日に日に能力に目覚める奴が増えて面倒だ。いっその事一人くらい殺って見せしめにするか?」
「おい、冗談に聞こえないんだけど?」
「今のは本気で言ったんだ。冗談に聞こえるわけがない」
「人殺しはさすがにダメだろ」
「"誅戮の巫女"なんて二つ名持ってる奴もいるんだ。一人くらい構わないと思うけどな~」
「人としての尊厳は守れよ」
「そうだなー この書類の山が明日少しでも減ってたらな」
ため息交じりで再び烈はデスクワークを始め、暇人な俺は一眠り。といこうかと目を瞑ると戸が勢いよく開いた。
それはもう戸が変形してしまうんじゃないかと思うほどデカイ音を上げて。
そして、入口にはマッチョな男一人と赤いロングヘアーが目立つ女性が一人。
「先生。何かご用でも」
俺はそう言って先生を席へ座るように勧める。
「北条、岩裂、折り入って頼みたい事があるんだ。アカリ先生」
「えぇ、これを」
そう言って写真を一枚、テーブルに置く。
「これは…」
「…酷いわね」
俺も烈もこの写真を見ると、少し気分が悪くなった。
写真には女子生徒を模した人形が切り刻まれ、見る限りでは本物の内臓と血が飛び出していた。
「これ、人形ですよね?」
「勿論よ。でね、この人形のモデルの子に相談されて」
「で、我々が今ここにいるという事だ」
「なるほど、その子は今どこに?」
「一応自宅にいるわ」
「って事は、先生たちは私達に犯人を見つけ出して殺…拘束しろって言いに来たのね」
「そうよ。お願いできるかしら?」
「そりゃー…」
「勿論! こんな女の敵は私が懲らしめてやる!」
「ありがとう! じゃあよろしくね。あとこれ、その子に聞いて犯人かもしれない子のリスト」
リストを残して先生たちは事務室を後にした。
俺は烈がリストを読み終えると、俺もリストに目を通す。
「これ、二年生も入ってんのか…稜姫先輩に連絡しとこうかな」
「ダメ! これは私達の手で片をつける…っ!」
「あぁ…分かったよ。だからちょっと下がれよ、近い」
烈は拳を握りしめ、何やら決意を固めている。
こりゃー 犯人が死なない事を祈らなきゃな。
こうして、昼食をとる間もなく俺と烈は昼時の校内へと繰り出す。
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