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私の一つの目標

 そんな私の弱い心を見ぬいているのか犬飼さんが毎回ちくちくと、まるで小姑のように突っかかってくる。


 そして、私から見ても犬飼さんの祐也さんに対する忠誠心は高く、私に対してはやはり所々に棘がある対応をしてくるあたり嫌っているのだろうというのが伝わってくる。


 以前私を嫌っている理由を犬飼さんが言いかけた事もあったのでやっぱりという感覚ではあるのだが、祐也さんと結婚するにあたってこのまま犬飼さんとの関係が悪いままというのはやはり宜しくないだろう。


 その為、結婚する前にどうにか犬飼さんと仲良くなりたいのだが、その為にはまず犬飼さんが以前言いかけた話の内容、犬飼さんが私を嫌って祐也さんに忠誠心を得るきっかけになった出来事を聞き出し、謝罪が必要ならばしっかりと謝らなければこの話は前に進まないと思っている。


 そしてこの連休で犬飼さんと和解すると言うのが今回の私の一つの目標であったりする。


 もちろん最終的には祐也さんとの仲をより深いものにしたいという思いもあるのだが、まだお互い学生の身であるにも関わらずこのような妄想を度々してしまっている事を祐也さんに知られたら私の事をはしたないと思われてしまわないかとそれはそれで不安になってくる。


 今まで見てきた祐也さんであれば絶対にそんな事は言わないし思わないとは分かっているものの万が一引かれてしまったらと思うとなかなか行動に移せない自分がいるわけで。


 そんな度胸も意気地もない私と違って妹の莉音はぐいぐいとアピールしており、そのアピールの内容も日に日により大胆な物に変化して行くではないか。


 妹でかつ婚約者でもない莉音ができているのに、婚約者である私が自分の思いすら伝える事ができないこの体たらくではいずれ妹や、妹でなくとも別の誰かに祐也さんを奪われてしまうのではないかと不安になってくる。


 だからこそ今焦っているのだが、結局私は『祐也さんの婚約者だから大丈夫』などと言い訳をしてひよってしまうのである。


 それでも頑張って一緒にお風呂を入ろう、一緒の布団で寝よう等と勇気を振り絞って言ってみたりするのだが、莉音はそれ以上にスキンシップが激しくなってきており、置いていかれそうな感覚に陥ってしまう。


 そもそも、私は妹の莉音と違って祐也さんに今思い返しても引くくらい散々最低な事をしてきたのである。


 もちろん祐也さんが何故か表ではそう見えるように演じていたと言うのもあるのだが、それを見ぬけずに冷たい態度で接して陰では悪口を言っていたと言う事実は決して無くならない。


 その姿が祐也さんから見ればどういう風に今まで見えていたのかと言うことを圭介のここ最近の態度である程度分かってしまったからこそ『私なんか』と後ろめたさも感じてしまう。

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