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勘違いしないように

「やめろぉぉぉぉおおおおおおおっ!!!!」


 そして俺の叫び声は虚しく南川の家の中に響き渡るのであった。





「うん? お姉ちゃんどうしたの?」

「いえ、何でもないわ。 なんか叫び声が聞こえた気がしたんだけど、どうやら気のせいだったみいたい」

「そうなんだ。 私は何も聞こえなかったからきっと気のせいだよ」


 そんな会話をしながら私達は別荘へと戻る。


 今回採ってきた食材なのだが、ふきに椎茸、沢蟹に養殖しているマス、ノビルに木苺、クワの実にヤマモモである。


 そして更にそこへ茂さんが予め採ってきてくれており下処理も済んでいるマダケの筍に猪肉などが加わるのだが、この猪肉も茂さんが獲ってきたものらしい。 


 ちなみに足りない食材などはスーパーで買ってきてくれたようである。


「こうしてみると意外と初夏でも結構採れたわね。 山菜なんて春くらいしか採れないと思っていたわよ」

「一応まだ探せば色々採れるとは思うけど、今日食う分が採れさえすれば良いしな」

「ねぇ祐也、この木の実達どうするの? 確かに美味しいは美味しいけどデザートにするにはちょっと味が物足りないような気がするんだけど?」

「あぁ、それは今日ジャムに加工して明日の朝食パンに塗って食べようかと思っている」

「え? それもう想像しただけで美味しいのが分かっちゃう奴じゃないっ!!」


 そして妹の莉音が折角採ってきた木の実達を『味が物足りない』などと言うので流石に注意しようかと思っていると、裕也がそれらをジャムにして明日パンで食べると説明すると莉音は手のひらを返して美味しそうだと早くも明日の朝食を楽しみにしているではないか。


 その姿を見て我が妹ながら現金な奴だと思うものの、正直言うと私も今から楽しみであるのは秘密である。


「ほら、莉音は自分で採ってきた大量のふきの下処理をしなきゃいけないでしょっ! 折角茂さんが教えてくれるって言ってくれてるのだから早く下処理をしに行きなさいよ」


 そして私はそう言って彩音をふきの下処理をさせに行かせるのだが、それは建前であり本当は私が祐也と二人っきりになりたかったからという理由で莉音をふきの下処理へと行かせたのである。


 そんな自分が少しだけダサいと思ってしまう。


 そんな建前など使わなくても、婚約者なのだから『祐也と二人になりたいから少し離れて欲しい』と言えば良いではないか。


 何を今更恥ずかしがているのか。


「ちなみに私もいますので厳密には祐也様と二人っきりではございませんので勘違いしないように」

「うるさいわね、その位分かっているわよ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] なぜだか続きが読みたくなるところ [気になる点] >そして私はそう言って彩音をふきの下処理をさせに行かせるのだが ここは彩音ではなく莉音が正かと。
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