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たいしたもんだぜ

 何故後ろの三人はそんなにピリピリしているのか。


 それを聞いた所で彼女たちの苛立ちが俺へと向かって来そうなので俺はあえて気付かないフリをしてやり過ごす。


 折角羽を休めるのである。 俺がいらないお節介を焼いてしまったばかりにこの三連休を無駄にはしたくはない。


 そんな事を思いながら俺は異様な空気を満たした車の中で無関係を装いながら目的地である別荘へと向かうのであった。




「おうボウズッ! 珍しいじゃねぇかっ! すっかり忘れられちまったかと思ってたぜっ!!」


 そして俺たちを乗せた車はようやっと目的地である別荘へと到着したのだが、その入り口で茂さんがわざわざ外に出て待っていてくれていた。


 その事からも俺が来る事を茂さんはずっと待っていたのだと思うとなんだか悪いことをしてしまったなと思ってしまう。


「まぁ、色々あったからな。 でも、もうそんなガキの頃に意固地になっていた事を高校生になってまで引き摺るのも馬鹿らしくなってな。 茂さんには俺のどうでも良いプライドを捨てれなかったせいで迷惑をかけたようだ。 すまなかった」


 それでも昔と変わらず冗談まじりに接してくれようとしてくる茂さんに対して俺は謝罪をして頭を下げる。


 おそらく茂さん本人は俺にこんな事をされる事を望んでいない事は分かってはいるのだが、これに関して俺のケジメでもある。


「いやぁ、まさかあのボウズから謝られる日が来るとはようっ……本当に大きくなっちまったんだなっ!! ジジイは嬉しいぞ、ボウズッ!」


 そしてそんな俺を見た茂さんは目を丸くしたかと思えば感慨深く頷いた後、俺の頭をまるで犬を撫でるかの如くわしゃわしゃと撫でてくるではないか。


 茂さんのゴツくて大きな手で撫でられると、あの頃を思い出してしまうではないか。


「俺もいつまでもガキじゃねぇよっ」

「ははっ、言うようになったじゃねぇか。 でもジジイの俺からすればまだまだお前はガキだな。 悔しかったら俺の年齢を超えてから言うんだな」

「いや、流石にそれは無理だろ」

「ところでボウズ、あそこにいるお嬢様方は誰だ? 一人は美咲なのは分かるんだが……ボウズのいい人かい? 俺はてっきり美咲の嬢ちゃんと結婚するもんだと思っていたんだがなぁ。 それとも何かい? 三人いっぺんに娶るって言うのかい? そりゃぁたいしたもんだぜっ!!」


 そして茂さんは「ガハハハハッ!! 冗談だっ!! どうせお前の事だ。 友達か何かだろう。 ほれ、こんな所で立ち話もなんだから中へと入るとするか」と言うと、俺たちを別荘の中へと入るように促すのだが、何故か美咲は嬉しそうに、彩音は滲み出る怒りが隠し切れてなく、莉音はそんな姉を見て笑いを噛み殺しているのが分かる。


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