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だったら別に私でも良いではないか

 服屋でショッピングをしても、雑貨を周っても何も面白くない。


 それもこれも全て、全部、アイツのせいである。


 こんな気持ちではお姉ちゃんの誕生日プレゼントを選ぶ余裕も無いではないか。


 こんな心に余裕のない状況で選んだものをプレゼントにしたくないとさえ思い始めたので日を改めてまた来ようと思い踵を返したその時、私は誰かに当たりそのまま倒れてしまう。


「きゃっ!?」


 結局私は心ここに在らずで周囲をあまり見ていなかったのだろう。


「おいおいおい、痛ってぇなぁっ。 おいっ!?」

「ご、ごめんなさいっ!!」

「あ? まさか謝って済むとでも思ってんのか?」


 私がぶつかったのは柄の悪いチンピラのような三人組の男性だったらしく、私が倒れている間に囲まれてしまっていたようだ。


 当然、謝罪しても退いてくれずさらに謝罪とは別に要求してくる始末である。


 確かに余所見をしていた私も悪いのだがいくら何でも見返りを求め過ぎだろう。


 むしろダメージがでかいのは体重差で吹き飛ばされた私の方である。


 にも関わらず周囲の人たちは一度は『何事だ?』と視線を向けるのだが男性三人のチンピラを確認すると我関せずと言った感じでそそくさとこの場から離れて行くではないか。


 こないだといい今回といい、本当についていない。


「何いい加減な事を言ってるのよ。 謝ったから良いじゃないっ!!」

「あ? 何で許すか許さないかを被害者の俺じゃなくて加害者のお前が決めてんだよっ?」

「だからっ!! 謝ったからそれで良いでしょって言ってんのっ!! あんまりしつこいと警察を呼ぶわよっ!!」

「じゃぁ、呼べなくすれば良いだけだ。 とりあえず一発殴って黙らすか」

「ひっ!?」


 どうして私ばっかりこうなのか。


 本当は助けてもらったあの日一目惚れしていた事に気づいていた。


 まるで物語の主人公とヒロインの運命的な出会いだと思っていた。


 何で私じゃなくてお姉ちゃんなのか。


 だからこそ、その感情は間違いだと自分に言い聞かせる為にも助けてもらったアイツにひどい言葉をいっぱいかけてしまった。


 本当は今日も正直言って嫉妬心からどうにかなってしまいそうだった。


 でも、アイツの婚約者はお姉ちゃんで、それなのにアイツは今お姉ちゃんじゃない別の女性と二人で出かけているわけで。


 だったら別に私でも良いではないか。


 そんなドス黒い感情を押し殺す為にアイツのことを悪い奴だと思い込もうとしていた。


 結局私は、何をやってもお姉ちゃんには敵わなくて、お姉ちゃんの二番煎じで、お姉ちゃんの代わりでしかないのだ。


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