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何が正解だったのか

「そ、それは……その……」


 言い返そうとするも言い返せない私がいる。


 彼のやり方は間違っていると言いたくても何故か私の方が間違っているように思えてくる。


「後、言い忘れましたが私は貴女のように表面だけ見て中身を見ようとしない薄っぺらい人間が西條祐也様の婚約者である事は認めておりません。 それでは」

「あっ、ちょっとっ!!」


 そして犬飼さんはそう言うと私の前から去って行く。


「まったく、何なのよ……」


 私は悪くない。


 そう言いたいのに、少し前までならば声を大にして私は間違っていないと言い返せたのに、何故か今は言えない自分がいる。


 何が正しいのか分からなくなってきていると言うのが正しいのかも入れない。


 おそらく彼らは西條祐也が言うようにもうこの学校には居られなくなるだろうし、それができるくらいの情報、それこそ彼らが今まで行ってきた悪行の数々の証拠があるという事でもあるのだろうし、犬飼さんの話が本当であれば彼らを退学にする事も容易であろう。


 以前の私であれば、どうせ彼らに有る事無い事濡れ衣を着せて退学するのだろうと思っていたであろうが、何故だか今は西條祐也はそんな事はしないような気がする。


 一体私はどうすれば良かったのか。


 何が正解だったのか。


 そして本当に話し合いで解決するのが正しい事だったのだろうか。


 彼らが犬飼さんの言う通りの人物であったのならば、ここで話し合いをした所で今は良くても私ではない誰かが襲われていた可能性だってあるのだ。


「どうした? 彩音……。 ま、まさか西條の野郎に何かされたのかっ!?」


 どうやら考え事しながら私はいつの間にか校門前まで歩いてきていたようで、わざわざ待っていてくれていたのであろう東城圭介に話しかけられるのだが、彼は開口一番西條祐也の仕業で、まるで彼が悪であるかのように話しかけてくるではないか。


 その圭介を見て私は苛立ちを覚える。

 

 なんで圭介はいつも、何も見ていないのに、何も知らないのに全てが西條の仕業だと決めつけて話すのかと。


 そこまで考えて私はハッとする。


 この圭介の姿こそが犬飼さんや西條祐也が見る私の姿そのものではないかと。


「大丈夫かっ!? 顔色が悪いぞ?」

「触らないでっ!!」

「あ、彩音……っ?」


 何故だかは分からないなのだが、何故か圭介に身体を触られるのがとても気持ち悪いと思ってしまった。


「ありがとう。 でも御免なさい。 今はそういうのは良いので……。 じゃあ私はこれで帰るから」

「あっ、おいっ! 彩音っ!? おいっ!! 今日も実家には帰らずに西條の家に行くのかよっ!?」


 そして私は圭介の言葉を無視して待たせておいた車に乗り込み、西條家へと帰るのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゲーム世界としてのご都合主義(悪いのは全て西條)に少しずつヒビが入ってきましたねぇ。 そろそろ東城くんの『主人公』としての強制力が爆発するかなと楽しみにしてます。
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