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美咲の方がよっぽど価値がある

 授業を準備してくれた先生方には、今だからこそその苦労がわかる分申し訳ないとは思うものの退屈なものは退屈なのである。


 そのため俺はこの時間を使って死亡フラグについて頭の中で整理し始める。


 内容を理解している授業を真面目に聞くよりも、俺の生き死にに直結している死亡フラグについて考える方がよっぽど有意義であると思うのでそこは許して欲しいかぎりである。


「どうされました?」

「いや、美咲は今日も可愛いいなと」

「もう、祐也様ったら。 お世辞を言っても何も出ませんよ」


 そんな俺の心情を見抜いたのか隣の席の美咲(裏金で席を買った)から声をかけられるのだが、適当に誤魔化しておく。


 美咲が可愛いことには変わりないので嘘は言っていない。


「もし、美咲の助けが必要ならばいつでも申してくださいね」


 そして美咲は俺の目を真っ直ぐ見つめながらそう言ってくれるではないか。


 ほんと、こんなに良い女が側にいるのに何で西條祐也は北条彩音なんかを気になりかけていたのか俺には到底理解できないのだが、もしかしたら異性としてというよりかは『決して届かないモノの象徴』が彼の中の北条彩音だったのかもしれない。


 それがまさか手に入ってしまった為に彼の中のギリギリに保たれていた心のバランスが崩れてしまったのだろう。


 この『決して届かない象徴』が彼にとってどんな意味があったのかは分からないのだが、それでも大切な何かであったった事だけはわかる。


 権力と財力、完璧なルックスに成績も優秀で運動神経も良い彼だからこそ、絶対に手に入らないモノというのは凡人の俺では想像できないほどの価値であり、その分意味があったのだろう。


「あぁ、その時は有り難く頼らせてもらうさ」

「はいっ! 任せてくださいっ!」


 しかし凡人であった俺にとっては目の前で力こぶを作る動作で笑顔を俺へと向けてくれる美咲の方がよっぽど価値があると思ってしまう。


 それはそうと今は死亡フラグである。


 とりあえず今間違いないのは俺の自殺ルートは無くなったと言って良いだろう。


 そして次に気をつけなければならないのが、主要キャラクターに殺されるルートなのだが、それも北条彩音と北条莉音に殺されるフラグは無理矢理襲わなければ大丈夫と見て良いだろう。


 それでも死亡フラグを回避できたかと言われれば、無理矢理婚約をしてしまい東城圭介との関係を引き裂いてる時点で完全にゼロではないだろうが、北条姉妹、特に妹から殺されるフラグも昨日俺が助けたおかげでだいぶマシになっていると俺は思っている。


 でなければ昨日の命を張った努力が無駄になるので勘弁願いたい。

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