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当たり前だよな?

 それは、明らかに俺の感情では無い何かが負の感情を増幅させているような、そんな不思議な感覚であった。


 これは恐らく、西條祐也の残滓のような物だと思えばしっくりくる。


 そうだよ、そうだよな。 お前も感情の奥底で誰にも気付かれないように厳重に蓋をして隠してきてはいたのだろうが、やっぱり腹が立つよな。


 今回の件だってそうだ。


 西條祐也が何をしたというのだ。


 悪いのは明らかに北条グループで働いていた不正を行った社員であり、それを世間へと視聴率や利益の為だけに広めてしまったマスコミ各社である。 西條祐也ではない。


 見方を変えれば西條祐也は結果的に北条彩音と婚約させられる羽目になった被害者でもあるのだろう。


 確かに、西條祐也は北条彩音に対して少しだけ気になってはいたようではあるもののそれは恋心と言えるかどうかも分からない淡い感情でしかなかった。


 たとえ恋心がなかったとしても『お前がこの婚約を断れば北条グループは壊滅し、当然クラスメイトである彩音もタダでは済まないし、数多の人間が路頭に迷う。 自殺する者もいるだろう』と言われた場合、自分には関係ない事だと断れる人間がこの世に何人いるだろうか?


 これは言い換えれば、君が断れば数多の人間が不幸になるぞ、という単なる脅しでしかないではないか。


 なのに受け入れた結果がこれでは、精神もおかしくなるわ……。


 そしてこの時、俺は強く決心する。


 こんなクソどもに絶対に負けてなるものかと。


 西條祐也として、正々堂々胸を張って生き抜いてみせると。 この身体になってから初めて俺は(西條祐也)として生きていくと。


「お前は、俺に対しての慰謝料を払えるのか? 彩音も、圭介に対して叱責の一つもしない所を見るに、俺に対して慰謝料を払う覚悟があるのか?」


 そして俺は頭の中が花畑になっている圭介と彩音に、こいつらが今やろうとしている事の実際に払わなければならなくなるツケを払う覚悟があるのかと問いかけるのだが、やはりというかなんというかコイツら二人はそれがなんの慰謝料か分かってすらいないのがその表情からも理解できる。


「い、慰謝料だとっ!? 何をトチ狂った事を言ってんだよ。 むしろ慰謝料を払うのはお前の方じゃねぇのかっ!? 彩音がどれ程お前のせいで傷ついたと思っているんだっ!?」

「感情論で勝手に決めてんじゃねぇよ。 婚約破棄しなければならなくなった場合、俺はお前たちの浮気が原因での破綻として民事で訴えさせてもらう。 さらに刑事で結婚詐欺としても訴えさせてもらう。 当たり前だろう? この場合の被害者は彩音ではなくて俺なんだから。 加害者側が被害者ぶってんじゃねぇぞ? で、どうすんの? 俺とやり合うの? 当然こちらは大金叩いてでもお前らを法の下で叩き潰すけど、当たり前だよな? これは俺の面子だけの話ではなくて西條グループの面子でもあるのだから、卑怯とは言わないよな?」

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