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朝から元気なのは良いことだ

「……彩音は俺の婚約者だから俺を待っているのは分かるが、何で莉音がいるんだよ。 お前、俺とは無関係だろ」

「何よ? 婚約者の妹はアンタにとって無関係な人間になるんだ。 へぇー。 別に良いじゃない減るもんじゃないし。 それにこんな可愛い子を歩かせて登校させるって言うのかしら? 最低ね。 私レベルの可愛さだと登校中にまた襲われたりしないとも限らないし? そうなったらアンタのせいなんだからねっ!?」

「こ、こら莉音っ!! 流石に言い過ぎですっ!! 祐也さんに謝りなさいっ!!」

「は? 別に? 事実を言ったまでだし? 謝る要素なんかないのに何で謝らないといけないのよっ!!」


 うーん、何だろうか。


 この光景を見ると一見妹の方が性格悪そうに思えるのだが、俺は彩音の『流石に言い過ぎ』と言う言葉をしっかりと聞き逃さずに聞いている。


 それは、彩音の内面が莉音のように表に出ていないだけで、少なくとも莉音と同じ事を思っていると言う事の証明であろう。


 死亡フラグをどうにか回避して生き延びる事を当面の目標にしている俺からすれば彩音みたいに本心を隠されるより、莉音のように本心を表に出してくれた方が有難い。


「いや、構わない。 元気があって良いじゃないか。 田中」

「はい、祐也様」

「この二人を星城学園まで送って差し上げろ」

「かしこまりました」


 そして俺は一人なのに姦しいという器用な事をする莉音と、その姉の彩音を近くにいる女性の使用人を使って無理矢理車に押し込めてもらう。


「ちょ、ちょっとアンタはどうするのよっ!?」

「歩いて行く」

「はぁっ!? アンタも乗って行きなさいよっ!! これじゃどう見ても私が性格が悪い女じゃないのよぉぉぉぉぉっ!!」


 そして北条姉妹を乗せた車は星城学園に向かって進み始める。


 何かを莉音が叫んでいたのだが、うん、朝から元気なのは良いことだ。


 そして俺は北条姉妹を乗せた車を見送ると、美咲と共に徒歩とバスを使って登校する事にする。


「良いのでしょうか?」

「何がだ? 美咲が隣にいてくれるだけで十分だろ」

「そ、そうですよねっ! きっと祐也様はバスの乗り方も知らないでしょうから一から十までこの西條祐也様の専属側仕えである私にお任せくださいっ!!」


 何だろうか? 悪気がないのは分かるのだがこれではまるで世間を知らない金持ちの息子の相手をしているようではないか。


 いやまあそうなんだが、実際に面と向かって言われると俺も少しばかりは傷付くわけで。


 それでも、一緒にマックへ行った事の影響が良い方向に作用しているだろう事は美咲の嬉しそうな表情を見れば分かるので、いちいちその事についてツッコミはしない。

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