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アンタの家に連れてって

「こいつ、俺の連れなんだけど、何しようとしてんだ? お前」

「は? 嘘ついてんじゃねぇぞ? 殺されてぇ──グフッ!?」


 とりあえず話にならなそうなので柄の悪い男性のアゴを手加減せずにぶん殴ってやる。


 さすが西條祐也。 鍛えているだけあって相手は一撃で沈んでいくではないか。


 もしここに眼帯をつけた中年の男性がいたのならば、一緒に世界を目指そうと言われてもおかしくないレベルの一撃であったと我ながらも思ってしまう程美しい一撃であった。


「……何が狙いですか? どうせこの男性もあなたが仕向けたのでしょう? そもそもタイミングが良すぎるのよ。 隠すつもりならばもう少しバレないようにすれば? とにかく、あんたって男は本当に最低ね」


 しかしながら、せっかくピンチのところを救ってやったと言うのに北条莉音は俺を睨みつけて最低というではないか。


 そう言われてしまう理由も十二分にわかっているつもりなのだが、それでもわざわざ助けてやったにも関わらず面と向かって言われると流石に傷つくのだが、顔に出さずに上着を脱いで莉音に放り投げる。


「目のやり場に困るから使っておけ。 返す必要はないから捨ててくれて構わない。 後、襲われた直後に男性、しかも俺なんかと一緒に行動するのは嫌だろうがこれ以上何かあった場合流石に対処しきれないから送っていく。 家で良いか? それとも、彩音に会いにいく為に俺の家にいくか? どうせ深夜に俺の家に侵入して彩音を助けようとかバカな事を考えていたんだろう?」

「う、うるさいわねっ。 誰がアンタなんかの──」

「ちなみにお前に拒否権はない。 それで、どうする?」

「…………分かったわよ。 アンタの家に連れてって姉さんに会わせて」

「分かった」


 そして、どうせ断られるだろうと思っていた俺は断られる前に拒否権がない事を告げると、莉音はなんだかんだ言って今の自分の格好がどいういう格好をしており、このチンピラによってところどころ破れて肌が見えている格好で夜道を女性一人で歩くことの危険さを理解しているのか、その危険度と俺と一緒に行動する危険度を天秤にかけているのだろう、少しの間考えるそぶりをした後苦虫を噛み潰したような表情で彩音に会いたいから俺の家まで送れと言うと、俺が貸した上着を着込んで胸元を隠す。


「ふん。 どうせ襲われるなら見ず知らずの男性よりもアンタに襲われた方がまだ、アンタを責める為の武器が手に入るだけマシよ」

「あっそ。 無駄口叩いてんなら置いて行くぞ」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!! ………………………あ、ありがと」

「あ? 何だって?」

「何でもないわよっ! お前なんか死ねば良いって言ったのよっ!!」


 そして俺は、本当は聞こえていたのだが、あえて聞こえないフリをするのであった。

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