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チーズバーガ

「祐也様、私達の順番が来ましたよっ! 何にしますか?」


 前の俺本人が見る世界と西條祐也(本物のイケメン)が見る世界の差を堪能していると、どうやら俺たちの順番に周って来たらしい。


「そうだな、美咲が勧めてくれたチーズバーガーにしよう」

「えぇって!? そ、それはそれで私責任重大じゃないですかっ!! 祐也さんの舌にこのジャンク感が合わない可能性もありますし、どうせならもう少し高いハンバーガーを勧めていたら良かったです……」

「流石に気にしすぎだ。 それに意外とこのジャンク感が俺に合うかもしれないだろう?」

「そ、そうですけどぉ……」


 そんな感じで俺たちはまるで付き合いたてのカップルの様なやり取りをしながらチーズバーガとポテト、それにドリンクのついたセットを一緒に頼む。


 そして注文を終えて少し待っているとレジの受付業務をしているアルバイトのお姉さんからレシートに書かれている番号を呼ばれ、トレイの上に置かれた、購入したセットが置かれた商品を受け取る。


「はう……イケメンすぎる……。 も、もうダメっ」

「リ、リーダっ!? バイトリーダーっ!? だ、大丈夫ですかっ!?」

「だ、大丈夫よ。 す、少しばかり彼の微笑みでトキメキの許容量を超えてしまっただけですから……。 後は頼んだわよ」

「リィィダァァァァアアっ!!」


 商品を受け取り時に感謝の気持ちを込めて微笑みながら軽く会釈をしただけなのだが、どうやら俺に商品を渡してくれたレジのお姉さんが急に倒れたらしくて少しだけ慌ただしくなるのだが、大丈夫そうなので何もせずにそのまま店内の空いた二人用のテーブルへ美咲と向かい合わせで座る。


 そして俺は紙で包まれたチーズバーガーを手にすると、マジマジと眺める。


 それは俺の知っているマックの包装とは似ているようで違うロゴなどを見て、やっぱりここは別の世界なんだな、と思ってしまう。


「あ、そうでした。 すみません、祐也様は基本的に何でも出来ますのでマックが初めてなのを忘れてました。 これは、こうやって包みを開けて、カプッとそのまま齧り付いて食べるんですよっ。 少し行儀は悪いかもしれませんが、これはこれで美味しい物です」


 そんな俺の姿を見て美咲は俺がどうやって食べれば良いいか悩んでいると勘違いしたのか身振り手振りで一生懸命に教えてくれる。


「ふむ…………美味いな」

「でっ、ですよねっ!! よ、良かったーっ」


 俺は美咲から教えてもらった通りチーズバーガーにガブリつくと、口いっぱいに懐かしい味で満たされる。


 そして俺が美味しいと感想を言えば、美咲は花が咲き誇るような笑顔で喜んでくれるではないか。 


 美咲を西條祐也の側仕えにしなければ本当は俺とではなく、友達やクラスメイト達と一緒に共有していたのだと思うと、美咲の笑顔を見ると同時に俺は胸が締め付けられそうな気分になる。


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