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東城よりかは全然マシ




 朝起きて日課であるランニングを済ませた後ダイニングへ向かうと美咲と彩音がテーブルの席横並びで二人手を繋いでべったりとくっついて座っているではないか。


 過去の事を知っている俺からすればあり得ない光景であるのだが、それでも二人仲良くしてくれた方が俺としてはありがたいと思ってしまう。


 というのも、もし二人の仲が本当に再構築されて今目の前に見える光景が演技ではなく本当にべったりとくっつくほどに二人の仲が良くなっていたのだとしたら、俺からすれば願ってもない幸運であると言えるからである。


 二人の間で何があったのかは分からないのだが、これで二人のどちらかを選んだとしても、流石に相手が悲しむような事、それこそ俺を刺し殺す等といったことをするルートは無くなったと言えよう。


 しかしながら彩音というイレギュラーな存在や、あの二人以外の女性を選んだ場合に関してはまだどうなるかは分からない状態ではあるものの、選択肢にセーフティーゾーンが生まれた事は俺にとってもかなり大きな収穫でもある。


 しかしながら本当に二人の間に何があったのかまるで分からない為油断は禁物である。


 だが、現段階であれば死亡フラグが完全に消えていないと言えども南川に捕まってしまった東城よりかは全然マシだと思えてしまうのだから恐ろしい。


 東城にはぜひともこのまま南川と末永く幸せかどうかは分からないのだが、引き続き付き合ってもらいたい。


 南川を世に放つ事を阻止できるのは今や東城だけにできる大役なのだから。


 とりあえず、二人に共通点があるのだとすれば昨日俺に告白をしてきたという事なのだが、だからといってそれが一気に仲良くなる理由になるとも思えないので謎は深まるばかりだ。


「ねぇ祐也、お姉ちゃん達ちょっと、いや、かなり気持ち悪いんだけど何かあったか知らない?」


 そしてこの光景を見て俺だけではなく莉音も違和感を感じていたようで、その違和感を気持ち悪いと感じるようだ。


 こればかりは仕方がないうえに自分の姉が目の前で同性に抱きついている姿を見たら気持ち悪いと思ってしまうのも仕方のない事であろう。


「いや、俺も何でこんな状態になっているのかマジで分からねぇんだよ。 逆にどうしてこうなってしまったのかお前に聞きたいくらいだ」

「ふーん……まぁ良いわ。 これで私はお姉ちゃんに邪魔されずに裕也とスキンシップできるし。 そう思えばむしろラッキーだったかも」

「今なんか言ったか?」

「な、なななななな何も言ってないけどっ!? 自意識過剰なんじゃないのっ!?」


 そして莉音がこの光景を見て変な事を言い始めたので一応釘は刺しておくのだが、あそこまで動揺しては流石に隠すつもりがあるのかと言いたくなる。




 

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