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世界に轟け中華の声よ  作者: 鈴木颯手
東歴304後半・赤い津波
32/38

第三十二話「杏共内戦~宿泊~」

「これは……」


 挺は目の前の荒れ果てた村を見て絶句した。中京州に入った大杏帝国軍は複数の部隊に分かれて行動を開始した。挺の所属する部隊は敵とは遭遇していないが別の部隊ではちらほらと戦闘が発生したという話を聞いていた。

 そんな挺は汎軍閥が侵攻した後の村にたどり着いたが村は焼かれ死体が村の中央に積み重ねて無造作に置かれていた。金目の物は全て持って行ったようで家屋の中には使えそうな物は全く残っていなかった。


「酷い……、これが同じ国民相手にやる事かよ」

「誰か!誰か生存者はいないか!?」


 吐き気がこみあげてくる光景に思わずと言った様で呟く挺の隣では必死に声を上げて生存者を探す苑の姿があった。とは言えこの様子では生存者がいる確率は低いだろうと予想しており挺は心の中で「無駄に体力を消費しやがって……」と思っていた。

 しかし、挺含む大半の予想とは裏腹に村の生き残りがちらほらと発見された。その全員が床の下や肥溜めなどに隠れていた者達で全員疲弊していたが外傷は一つもなかった。


「無事でよかった。残念だが君たちを護衛する事は出来ない。とは言え生存者がいる事は伝令兵を使って報告してある。近いうちに他の部隊が回収しに来てくれるはずだ」

「ありがとうございます!ありがとうございます……!」


 生存者は必死に頭を下げながら涙を流している。親族友人に財産を失った彼らを挺は同情的な気持ちで眺めていた。と、同時にこんな事は一刻も早く終わらせないとと決意を新たにしていた。

 その夜、無事だった家屋にそれぞれ隊員が入り就寝していた。朝になれば次の村に向けて進軍が開始されるため見張りの兵を除き全員が死んだように眠っている。

 挺と苑は見張りの任務につき村の外を伺っている。とは言え真っ暗で何も見えず、見張リの必要性に疑問を感じつつあった。そこで気分転換も兼ねてずっと険しい顔の苑に話を振った。


「それにしても生存者がいたなんて驚きだな」

「……多分、違う」

「は?」

「言葉の訛がこの辺の人間じゃない。もっと西で使われている訛だ」

「それってどういう事だ?」

「……あいつらはこの村の人間ではなく共産勢力の兵の可能性があるって事だ」

「なっ!?」


 挺は驚きのあまり目を見開き苑に詰め寄ろうとするが、それを邪魔するように複数の砲声が周辺に響き渡った。


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