第三話「美少女で母性溢れるお嫁さんなんてフィクションの存在だよ」
僕の部屋に入ってきた美少女はまさに美少女だった。黒髪の清楚系で年齢は多分僕と同じか少し上くらいだと思う。あと十年もすれば美女となって誰もが目を奪われる存在になるかもしれない、いや!絶対になると確信できるほどの美少女だった。
こんな美少女がお嫁さんなの?詐欺じゃない?だって可笑しいもん。
そんな僕の内心を知らない美少女は心配そうにベッドで横になる僕の下へ近づいてくる。
「陛下……、大丈夫ですか?」
「う、うん。ダイジョウブデス」
しまった。緊張のあまり片言になってしまった。
「ふふ、そう言うところは変わっていませんね」
あ、どうやら転生前の皇帝も同じ様な感じだったようだ。そりゃこんな美少女と会話なんて難しいよ。
「えっと、心配かけてごめんなさい」
「そんな……、陛下が謝る事なんてありませんよ。清択は毎日の公務で疲れたのだろうとおっしゃっていました。これからは公務を減らした方が良いかもしれませんよ」
え、倒れるほど公務をやっていたの?いや、もしかしたら体が弱いから少しの公務でも疲労するのかもしれない。……転生してから疲労なんて感じてないんですけどね。
「うん、そうしようと思う」
「っ!陛下!ありがとうございます!」
なぜか同意すると美少女は驚きつつ嬉しそうに感謝してくる。いくら何でも大げさすぎじゃない?たかが公務を減らすと言っただけなんだよ?
「今まではいくら言っても聞いてくれなかったので嬉しいです。早速明日から行う公務を減らすように清択と泊桃に伝えてきます。陛下は今日はゆっくりと休んでください」
……何だろう。病気で寝込んだ子供の世話をする母親みたいな感じがする。実際端から見るとそう言う風に見えるかもしれないな。
取り敢えず美少女は少しの会話の後に部屋を出て行った。公務の事で説明してくれるのだろう。清択って言っていたのは確か教育係と言っていたおっさんだよね?泊桃は……、誰だろう。というか僕あの美少女の名前すら聞いてなかったなぁ。次に会った時にそれとなく聞いてみるか。




