第十九話「ふんそーです!に!」
「一応こちらも軍を展開させて。指揮は……、良く分からないから青姜さんに任せる」
「はっ!丁度こういった事態への対応が得意な者が居ります。ですが、そのためにはある程度の独断専行は見逃す必要があります」
僕が軍務卿の李青姜さんに話を振ると待ってました!とばかりに話し始めた。うん、僕には軍の事は分からないけど普通の軍なら不味い事というのは分かる。でもそれをさせれば少なくともこの状況に対応できると。確かに相手から攻撃されればいちいち指示を待っているわけにはいかないか。……よし。
「うん、いいよ。だけどこちらからは手を出さないように言いつけてね?約束だよ」
「勿論です。あ奴にはその事を徹底させます」
青姜さんの頼もしい返事を聞いた僕は満足げに頷き次に移る。軍はあくまで防衛のためでしかない。この紛争を終わらせるには外交の力が必要だ。
「シベリア共和国との交渉は任せるよ。紅運さん」
「はっ!お任せください。必ずや吉報をお持ちします」
僕の言葉に頼もし気に答えたのは外交を担当している叢紅運さんだ。紅運さんは40代だけど鍛えているからか体つきはとても素晴らしいよ。因みに彼の外交力は知らないです。だって今日が初めての本格的な外交だもん(転生してから)。
そんなわけで僕が出来る事はエールを送る事くらいしかない。何か策を言おうにも知識はないし僕の見た目は10歳程度しかないからどんなに立派な事を言ってもまともに聞いてくれないだろうし。だから僕は現場の人たちがやってくれると信じている事しか出来ない。それしか出来ない現状に少し歯がゆい思いを感じつつ僕は自らの職務を全うするべく皇王の間を出ていく彼らを見るのだった。
_李青姜の命により大杏帝国は10万の兵を満州に派遣した。指揮するのは極獄将軍の異名を持つ安高聾でありその副官にはモンゴル人のバルトエデネがついた。一方、シベリア共和国は3個師団を満州東部に配置し他の部分には4個師団が派遣された。10万対10万と兵の上では互角となったがそこへ大日本皇国が遼東半島に2個師団、朝鮮半島に6個師団の兵を張り付けた事により兵数で劣る事となった。
一方、海軍は遼東半島の存在する中華湾の封鎖を決行した。
決戦の火ぶたは着々と近づいていた。




