第十六話「お嫁さん(とその候補)・そのいち」
「陛下……、お疲れ様です」
「あ、紅花ちゃん。全然大丈夫だよ」
大日本皇国の高原さんとの挨拶を終え参加した国の代表とも挨拶を交わした後に紅花ちゃんが来てくれた。紅花ちゃんの右手にはジュースと思われる液体が入ったグラスを持っていてそれを僕に差し出してくれた。
「陛下、果実水があったので持ってきました」
「ありがとう紅花ちゃん!丁度喉乾いていたんだよ!」
僕はそう言って紅花ちゃんから果実水を受け取って飲む。甘い香りと仄かに感じる果実の味が染み込んでくる。喉の渇きと美少女嫁の紅花ちゃんから貰ったという事で凄く美味しかった。僕は一度もグラスから口を離すことなく飲み干した。空になったグラスを右手に持ちながら僕は部屋の中を見る。
このパーティーには国内だけでなく国外からも招待している事もあって結構規模は大きい。更にて期待している派閥、海杏軍閥や共産勢力の軍閥の代表者も参加している。前に謁見してきた処志高正も参加していて今はタイ王国から来た代表と会話している。
玉座に座っている僕からは良く見えるけどさすがに注目される位置にいるから少し恥ずかしいな。少しお腹もすいてきたし紅花ちゃんに何か取ってきてもらおうかな。このパーティーの主役である僕はなるべく動かないようにって清択さんに言われているからね。
「紅花ちゃん、何か食べ物を「陛下、少しよろしいでしょうか?」ん?」
紅花ちゃんに食べ物を摂ってきてもらうと声をかけていると横から割り込むような声がした。そちらを見れば一人の少女がいた。西洋風のドレスを身にまとうその女性は元々顔立ちが近いからなのかとても似合っていた。
「お久しぶりです。陛下」
「え?えっと……、お久しぶり?」
しまった。流石に転生する前の記憶なんてないよ。もし転生前によく合っていた人だったら違和感を抱かれるかもしれない。そんな風に焦る僕だったけどその思考は杞憂に終わった。
「ふふ、忘れられても仕方ないですね。陛下とは一度しかあってない上に私のほかに十数人いましたから」
「ご、ごめんね」
「謝ることはありませんよ。むしろ覚えていなくても大丈夫です。これから忘れられない思い出を作っていけばいいだけの話ですから……」
そう言って少女は妖艶な雰囲気で僕に近づいてくる。どう見ても10代半ばの見た目の少女が放っていい雰囲気ではない。というかまだ精通もしてない(感覚的に)ショタにナニをしようというのか……!
「そこまでです。宇春さん」
「……あら、これはこれは紅花さんではないですか。お久しぶりですね」
え?君たち知り合いなの?にしては何やら険悪だけど。
僕を挟み込むようににらみ合う二人の美少女に困惑する事しか出来なかった。




