表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

やれば出来る子です!・・・多分【1】



・・・・・・如月(きさらぎ) (ゆう)です。


色々な体験をしてここは日本でも地球でもない、異世界とかゲームの中とかよくある小説とかのよく聞く話ってやつなんだろうと、勝手に結論づけた訳だけど・・・。


突然異世界に飛ばされてしまったのに結構充実した日々をおくっています。でも誰とも会話もしてない、それ以前に人に会ったこともないのですがこの世界には人類って居るんでしょうか?会ってみたいものです。


・・・・・・あれ?言葉は通じるのか?文字が読めないってことは可能性低くないか?まぁ今考えてもどうしようもないんだけどね・・・。



ちょっと人恋しいというか会話をしたいです。・・・切に思います。寂しくて理性がおかしくなったりしないといいなぁ~・・・・・・








*******************************************************


白い雲の様なモコモコしたものがただよい弾けて消えるのを繰り返している一面真っ青な世界。まるで自分が空を飛んでいるような錯覚さえしそうなくらいに綺麗だった。


空を見上げなくなったのかいつからだろうか?思わずそんな事を考えていたら青い色がゆっくりと赤く染まり次第に濃くなり紫から黒に変わると一面に輝く光が散りばめられた。


何かを喋ろうとしてもうまく言葉が発せず音になる前に白い息となって空気に溶けて消えていく・・・。傍らに暖かい風が吹き体を優しく包み込むと優しく囁く声で・・・・・・。


ーーー・・・そ。・・・・・・の・・・こ・・・ーーー



*******************************************************









ベットの上で脚がつったようにビクンッと体が跳ねた上がった拍子に驚きで体と意識が覚醒し上半身を起こした。


「あぁ~ビックリした・・・夢?を見てたような?」


何か夢を見てたんだろうが全く記憶がない。窓に視線を向けると空が少し明るくなり始めていた。


「起きるか・・・」


そっとベットから降りて隣の部屋に忍び足で入り床で大人しく寝ている鹿の様子を窺うと気持ち良さそうに寝息をたてている。昨日のご飯も完食しているし傷も治っているようだ。森に帰るにしても腹ごしらえは必要だろうと鹿の食事をそっとお供えをしておいた・・・死んでないよ?死んでないけどさ、何ていうか・・・・・・俺がいると食べなさそうだし・・・餌付けって感じはしないしね?でも随分ぐっすり寝てるけどこの世界の動物の野生本能って大丈夫かな?ちょっと心配になるな。まぁ俺が気にしても何も出来もしないし関係がないが。



毎朝恒例のシュカの卵チェック!ってなんか一人でやってるとアホらしいな・・・さっさと卵を確保してバックに仕舞っていく。そして卵の色と種類と特別な日について分かっていることをまとめたらちょっととんでもない事になった。



卵の色分け

※色の後の数字の数が線の数で最初の卵の色に指定の色の線が入っている表記です。


白玉

赤1 みりん 赤2 白ダシ(鰹だし) 赤3 白味噌


赤玉

白1 薄口醤油 白2 ケチャップ 白3 麺つゆ(昆布だし)

白4 濃い口醤油


黄玉

白1 ゴマ油 白2 マヨネーズ 白3 酢


茶玉 一色のみ(線無し)味噌

白1 トンカツソース 白2 ウスターソース

白3 お好み焼きソース


金の卵 黄金の・・・。つまり焼き肉のタレ。ちなみに線がないのは甘口。黒1中辛。白1辛口。


5日ごとには黄色と赤のストライプの卵が産まれて中は蜂蜜だった。まだ正確には日数があっているか分からないが10日間の間に2回生み間隔が同じだったので5日10日と5日ごとに増えるタイミングで産んでいる気がする・・・


毎週

月曜 醤油(濃口か薄口はランダム)

火曜 ソース(トンカツかウスターかランダム)

水曜 酢

木曜 味噌(白かノーマルかはランダム)

金曜 ゴマ油

土曜 生卵(白または赤)

日曜 ケチャップ


感覚的にこんな感じというだけで正確かは分からないが蜂蜜と黄金の卵以外の日は大体が曜日で決まった卵が必ず1個は入っているので何かしらの法則がある気がする。




朝の献立どうするかなぁ~と考えていて昨日の豚の事を思い出して朝飯ついでに昼飯の下ごしらえもやろうと外へ出て豚を出して書斎で見たらいつの間にか習得していた解体を試してみようとしたら、豚の名前が分からないしリストで出そうとしたらムラトンの肉や内臓などから始まり、ムラトンの骨や血液まで様々なムラトンという名のものがムラトンシリーズ化してリストを埋めていた。



聞き覚えないリストの名前で解体された肉となると心当たりはないのだが、ムラトンという名前が紫の豚となるなら昨日の豚しかないので試しにムラトンのロースを探してバックに手を入れて少しだけバックから引き出したら豚肉の塊が顔を出したのだが、色が薄紫色なんだけど?他にも気になったのでムラトンの内臓と書いてあるのを出したら大きな蓮の葉っぱに包まれた内臓が出てきたんどけど・・・内臓全部がグレーに紫の斑点なんだけど・・・食えるの?・・・火を通しても絶対体に悪そうって確信してしまうくらいには食べるのに勇気が必要なんだけど・・・。なのに骨は普通だった・・・。他のはあんなにインパクト満載なのに骨は普通ってなんだかなぁ~。ちょっと期待したのに残念だった。期待してたんかい!ってツッコミがきそうだけどね。




ともかく内臓は元通りに葉っぱに包み今回は土の中に埋めておき骨などは使い道があるのでそのままバックに戻した。家に戻ってバラ肉の部分を出して焼肉用にちょっと厚めに切り特製ダレに漬け込んでおく。



特製ダレ・・・シュカの卵で作った・・・だろうなってか。まぁそうだけどさ!寂しいんだからもうちょっと付き合えよ!・・・はい、すみませんでした。付き合って下さい・・・なんか1人でやってて恥ずかしいし悲しくなってきたよ。・・・何の話だったっけ?



そうそう特製ダレの話ね!特製ダレは焼肉のタレをベースにソースと味噌とみりんを少々混ぜて作り置きにしたもので、本当はニンニクもすりおろして入れたいところだが無いものは仕方ない。


朝は結局キノコの炒めに焼き魚になったが・・・米・・・いや正確には炊きたてのご飯が欲しい。焼き魚ってご飯か欲しくなるが・・・えっ?あぁ~はい。そうですね。米炊けば?ってことですよね・・・炊きたかったんですよ?でも・・・鍋が無いんです!鍋が!フライパン?確かに焼きで使ってるのがあるよ?でもね?あるけど厚さがない!しかも平べったい形状で深さがないんだよ!なんか鉄板を改良したみたいな?丸い小さなホットプレートって言えば伝わるか?極めつけは蓋がない・・・この世界の人はどうやって蒸し焼きとか揚げ物とかしてるんだろうか?まぁおにぎりで我慢しましたが・・・ご飯あるじゃんって言わないの!おかず込みのおにぎりは美味しいけどやっぱり白米(ご飯)が欲しいし炊きたてが食べたい!というのが今切実な願いです。誰か炊きたてのご飯プリーズ!!ミー!!



匂いにつられてシュカも起きて定位置にちょこんと座っている。定位置って?もちろん椅子の上だけど?まだ寝ぼけていてユラユラしていて今にも転げ落ちそうだが。


「シュカお待たせ!ほらご飯だよ」


目の前に置いてあげれば自分で器用に嘴で食べれるようになり、俺もゆっくりと食事ができて嬉しいがたまに俺が食べているものを欲しがるのだが量が足りないとかではない。皿にはまだ残っていても欲しがるから。


多分だが俺が食べているのが旨そうに見えているのでは?と思っているが中身は同じなので味は変わらないけど一度あげれば満足して自分の分を食べるって不可解な行動だよ。満足したらどうでも良さそうだけどね。シュカはただ甘えてご飯を強請っているだけだったが悠は特に気にしないのでシュカの行動に気が付くことはなかった。


何だかんだで馴染んだ生活になっているがこのままだと此処で永住、永眠しそうな気がしてきてるんだけど・・・。そんな事を考えていると小さい音で妙に主張してくる音が聞こえてくる。


ーーーーーきゅ~~~~くるるるる~~~~ーーーーー


「・・・うん?何の音だ?」


耳を澄まして集中しないと聞こえない微かな音を辿って行き着いた場所はお腹を押さえて丸まりながら寝ている妖精?だった。


「妖精?って食べ物何を食べるんだろう?」


至近距離から声を出したので妖精?がプルプルッと体を震わせて目を擦りながら体を起こしキョロキョロしだした。


「おはよう。体調はどうだい?痛い所はない?」


話しかけられてビクッとした後、俺を見てピキッという効果音が聞こえて来そうな位に固まってしまった。


「どうした?大丈夫か?お腹空いてるみたいだけど何か食べる?」


声をかけても固まったまま動かないのでツンツンと体を突っつきながら声をかけていくが反応がいまいちだった。言葉が通じないのかもと諦めて水分だけでも取らせようと水にシュカの卵の蜂蜜を使って蜂蜜水を作って近くに置いたが飲む気配はない。どうやって飲ませるかを考えた結果便利箱で作成しようと欲しいものを思い浮かべリストを探すとお目当ての品物を即作成。作成時間はたったの30秒!小さいからあっという間に完成した。ほぼ一瞬と変わらないと思う。


「とりあえずこれで大丈夫かな?」


作ったのは小型のスプーンだった。コンビニとかで紙コップのコーヒーとかを混ぜる用の小さいタイプの物で、まずは固まって動かない妖精?を掴み無理矢理にスプーンで蜂蜜水をすくい口に垂らして飲ませる。まだ幼いフクロモモンガにペットショップの店員がやっているのを見た事を思い出したが、人形の手のひらサイズの怯えて身動きがとれない妖精?にすると凄く酷い仕打ちをしているように感じるが今は気がつかなった事にしておこう。しかもモモンガにやっていた時はスポイトなので全く状況は違うが・・・必技!情けないが、見て見ぬフリだ!!


・・・どこが必技かはツッコミはしないでしかも情けないってついてるしね。最初は驚き慌てていたが甘くて美味しいらしく素直に飲んでくれていた。


「それだけ飲めれば体力的にも回復してるみたいだね」


蜂蜜水に夢中で俺の存在を忘れていたらしい妖精?は俺の手の中で暴れだした。そんなに力はいれてないが逃げられずに慌てているみたいで手足をバタバタさせている。


「元気になって良かったよ」


ゆっくりと寝床に降ろすとキョトンとした顔をして首を傾げた。


「何もしないからゆっくり休んでから森に帰りなさい」


それだけを妖精?に伝えるとそっと近くの窓を通れるくらいに半開きにして出られる様にだけしてから側を離れた。きょとんとして首を傾げて俺と窓に交互にキョロキョロするのは可愛かった。



鹿の様子を見ようと扉を開けると立ち上がりこちらをジッと睨む鹿の姿があった。見た限りでは完全に回復をしてるようだ。


「お前も大丈夫そうだな。歩けるならそのままついて来てくれないか?」


鹿に言葉が伝わるのかとか思うが独り言になるかもしれないが言葉をなげかけた。


『私をどうするつもりだ?』


いきなり頭の中に言葉が浮かび耳の奥で低い声が響いた。驚き周囲を確認して声の主を探した。人の姿はない。当たり前だけどさ。・・・えっ?いや分かってはいたよ?でもさ・・・咄嗟に頭に声が聞こえたら誰か居るの?って後ろとか振り返るでしょ?条件反射ですよ。えっ?しない?いいよ、いいよ誰も分からないさ。急に頭の中に声がするなんて体験はした事がないんだからさ。まぁ確認したら後ろは壁だったけどさ。


『答えろ人間』


「あぁ~やっぱり喋ってんのは君なんだね」


久しぶりの会話にちょっと嬉しくなって鹿が喋った事とか気にせずにのんきに頭をかきながら鹿に向かって声をかけると妙に偉そうに上から目線の鹿は我慢が出来ず苛立ちを表すように前足を床にガッと音出すように振り降ろした。角を振り上げて突き出すような体勢をした。


『聞こえないのか、質問に答えろ無礼者!!穢らわしい人間が!!』


えっ?無礼者?お前だろ?しかも穢らわしい?っていうか何で上から目線でさらにバカにされてるの?こいつを助けたのは間違いだった?すっごい後悔してるんだけどあの時の俺を殴りたいくらいコイツうざい。あのまま放置してきたら良かった。・・・鹿鍋って何ていうんだっけ?サクラは馬だったような?ボタンは猪だしなぁ・・・う~ん思い出せん。


『下等生物は言葉も理解できないのか』


「うるさいぞ鹿。いい加減にしろよ?鍋にされたくなかったら黙れ」


笑顔のままで言いきってやると一瞬だけ鹿の動きが止まり言葉を理解したのかいきなり襲いかかってきた。角で俺を刺すつもりらしく角を突きだした状態で突っ込んできた。



ーーーーーーーーガシッ!



角を掴みそのまま首を抑えこみ[何か前に芸人でこんな事してる人居たな]ふりほどこうと暴れる鹿の力をものともせずに首に力を込めて締め付けるとうごっうごっと奇妙な声をあげながら口から泡を吹き出している鹿に会った場所を思い浮かべると足の下に白い円形の魔方陣が現れるとそのまま鹿と共に森の中に瞬間移動をした。憂さ晴らしとばかりに鹿を地面に放り投げてから怪我と呼吸困難で動けなくなった鹿の顔に向かって傷薬をぶっかけてから自宅へと再度瞬間移動して帰ってきた。やっている仕打ちがかなり酷いが頭に血が上っている悠は傷薬をかけただけでも優しいと思っていた。顔面にかけているのでどうかとは思うが・・・・・・



「よし。面倒なやつを捨ててきたし今日はなくなった傷薬とかの補充とかをして後は昼を食ってから考えるか」


リビングに戻ると朱華のお腹の上で気持ち良さそうに寝転がっている妖精?の姿があった。


「森に帰らないのかい?」


思わず妖精?に声をかけるとビクッと体を強張らせてからゆっくりと俺の方に顔を向けて慌てて飛び上がり斜めに勢いよく飛んだせいで壁に頭をぶつけてヒラヒラと落ちてきたので慌てて受け止めた。そっと支えながらリビングのテーブルに降ろしてあげた。


「おいおい、大丈夫か?」


痛みで動けず涙を浮かべている相手に大丈夫じゃないだろうと分かっているが咄嗟に聞いていた。痛みに耐えている姿から大丈夫ではないのについつい聞いてしまうんだよなぁ~。とどうでもいいことを考えてる間に回復したのかこちらをじっと見上げていた。


『助けて頂いてありがとうございました』


可愛らしい子供のようなちょっと高い女の子の声が頭に響く。


「どういてしまして。元気になって良かったよ」


にっこりと笑顔で言ったら下を向いてもじもじしなからこくんと小さく頷いた。えぇ~可愛すぎるんだけど。


「さっきも聞いたけど森に帰らなくて大丈夫なの?」


その言葉を聞いて泣きそうな顔をした後に小さく頷いた。


「訳を聞いてもいいかな?」


久しぶりの会話[鹿との事は完全に忘れ去ってノーカウント]に嬉しくなって怯えさせないように極力優しく語りかけるように話すと着ていた服をギュッと握りしめてうつむきながら話はじめた。


『私の両親は人間に捕まったのでもういません』


「人間に?」


『・・・・・・はい。兄弟も居なくて・・・・・・』


「君は1人で暮らしているの?」


『・・・・・・はい』


「仲間とかは居ないの?」


そう聞いた時ビクッと体を強張らせて怯え始めた。


「どうしたの?・・・・・・あぁ。大丈夫だよ?信じられないかもしれないけど君の仲間が居るなら君を近くまで送り届けようと思っただけなんだよ。まぁ・・・両親が人間に捕まったのなら疑うよね・・・怖いなら近くまで送っていこうかなと思っただけなんだけど・・・」


そういうと妖精?はプルプルと左右に顔をふると涙を浮かべている目で俺を見上げて何かを耐えるようにしていた。


『・・・・・・・・・から』


「えっ?」


『私はみんなとちがう・・・から。・・・だから集落には入れてもらえないの』


妖精?からの衝撃的な発言だった。つまり彼女は親が居ないだけではなく同じ妖精?からものけ者にされて1人で耐えていたのだろう。


「そっか・・・。よく頑張ったね。辛かったよね。ここには好きなだけ居ていいよ」


そっと頭を人差し指で撫でるとプルプルと震えだして泣き出した。


『やっ、ざじっ、ぐっ、じな、いで、ぐだっっっざい』


「泣かない、泣かない」


泣いてるのにさらに頭を撫でながらよしよしと完全に子供扱いであったが普段から冷たくされ嫌がらせや虐めを受けていたせいで涙は止まらなかった。漸く落ち着いてきた妖精?は恥ずかしそうに顔を伏せながら小さな声で話しかけてきた。


『いきなり泣いてすみませんでした』


ペコッと頭を下げて謝る姿に口角があがる。なんとも実直な妖精?であると感じ思わず微笑ましく思ったのだ。


「さてと、まだお昼には早いけど昨日からあまり食べてないしさっきも蜂蜜水だけだしお腹空いたでしょ?」


妖精?に聞くと口を開き声を出そうとした時にぐぅぅ~とお腹から元気な返事が聞こえた。本人は真っ赤な顔をして声にならないような、あぅ、あぅと口をパクパクとさせていた。


「クッ、クッ、クッ。お腹は正直みたいだな。そう言えば君の名前をまだ聞いてなかったね?俺も名乗ってなかったしね。まずは俺の自己紹介からだね!俺の名前は悠。如月悠っていうんだ宜しくな!あと君がさっきベットにしてた赤い丸い物体は朱華(シュカ)。君を最初に見つけて俺の所に連れてきたのもあいつだよ」


『ユウ様にシュカ様ですね。改めて助けて頂いてありがとうございました。私の名前なんですが私たちには名前はないのです』


「名前がない?どうやって個体とか識別してるの?」


『しきべつ?難しい言葉は分かりませんが個体を呼ぶ方法は今のように〔念話〕で特定して話すか色などで判断したりします。私は穢れとか異端とか呼ばれてましたが・・・』


「酷いな・・・。念話に色ねぇ~微妙な色の違いとはどうするんだ?うん?・・・・・・念話?」


『はい。』


実に良い笑顔で頷くがさらっと言ったセリフは俺にとっては物凄く驚くことだった。


「なぁ・・・念話って言ったよな?」


『はい。言いましたよ?』


「念話ってなんだ?」


『えっ?何って今使ってるじゃないですか』


「使ってるって・・・いや確かに会話してるけど」


普通に会話をしていて何で会話できるのか?なんて考えなかったしきっと妖精?だし話せるんだろうって安易な考えだったがここで悠は矛盾というものに気がつかない。


矛盾・・・そう・・・妖精?だから話せるなら何故あの鹿が話せたのかという事実を悠はすっぱりと忘れていたのだった・・・。なんて単純な頭なのだろうか・・・?本当にあの会話はノーカウントにしてあるのだろう。都合のいい頭をしている。そして何より会話をしているのに頭に直接響くように聞こえていたが会話に夢中であまり気にしていなかった。



『もしかして・・・魔法が使えないのですか?』


「魔法?・・・魔法ってあの・・・火の玉とか出すあの魔法?」


『火の玉・・・?あぁ~〈ファイヤー〉ですね』


「あっ、それそれ!って・・・あるの?」


『えっ?知ってて言ったんじゃないんですか?』


悠にとってはゲームやアニメなどの知識で言ってみただけなので本当にあるとは思ってもいなかったので妖精?とはいつまで経っても会話が成り立たないでいるといつの間にか起きてきていたシュカが側で【腹減ってきたんだけど?ご飯は?】っと訴える目でテーブルの下から見上げてきていた。えっ?言ってること分かってるのか?ってそりゃ~分かるよ!だってお腹から元気のいい音が鳴り響いてきたからね!しかもその音につられるように小さな音が合唱されたがその音の本人は泣きそうになって俯いて居たけど・・・聞こえなった事にしよう。でもなんで寝ているだけの子がそんなにお腹を減らしてるのかは謎なんだけど?


「さて・・・色々と話さなきゃいけない事もあるけどまずは食事にしてからにしようか・・・シュカもお腹空いてるし俺も空いたしね」


朝に特性のタレに漬け込んだ肉を平べったいフライパンの真ん中に置き回りをキノコで囲むように入れて残っていた特性ダレを入れて軽く炒めると味の染みた肉炒めが完成した・・・味付けが変わっただけでこれしか作ってないな・・・。



調理を始めてから陣取っている椅子の上からグーグーと豪快な音を響かせているシュカの前にとりあえず先に食事を出してから妖精?はどうするのかを尋ねた。


「なぁ~君は帰る所がないんだよな?」


『・・・えっと・・・。無いわけではないですが・・・』


「あぁ~じゃあ食事してから考えるとして?君って普段の食事ってどうしてるの?」


『食事は花の蜜とか魔力とか木の実ですが・・・』


「花の蜜とか木の実ってイメージに合ってるな」


『イメージ?』


「あぁ~気にしなくていいよ。じゃあ肉とかは食べられないのか?」


『肉?あぁ~今持っているものですね。私は2回しか見たことがないですが宴とかでは食べています。私が食べたのはその宴の中で1回しかないですが・・・』


「・・・」


何気なく聞いた会話に辛い過去をスルッと暴露されて本人は気にしてなくてもちょっと複雑な思いをしてしまったので物は試しと食べさせてみることにした。最初は奨めても中々食べようとしなかったがタレの匂いにつられて恐る恐る食べるとあとは止まらなかった。



『美味しかったです!』


「そりゃ~良かった」


ニコニコと嬉しそうにしている妖精?の前にさっきのはちみつ入りの飲み物をペットボトルの蓋サイズの木の器に入れて出してあげると両手で支えながら喜んで飲んでいた。


えっ?何でそんな微妙なサイズがあるのか?ってちょっと妖精?を見てからテンション上がって人形サイズのベットや洋服や食器とか家具を便利箱で昨日の夜に作っておいたんだよね!・・・キモいとか言わないで!結構心がグッサリ抉られてダメージがデカイから!!でも食器は作ったけど皿とか器だけでスプーンやフォークとかは抜けてたんだよね。


俺のテンションや色々増えた雑貨とかに全くの興味を示さないシュカは食べ終わってから直ぐにベットに直行し寝ているというマイペースを貫いている。



『あの・・・』


「うん?どうした?」


木の器を抱え俯きながら言いにくそうに話しかけてきた妖精?に返事をしたがその先が続かない。根気よく待っていると決心したのか木の器を置き立ち上がると俺を見上げた。


『私も一緒に暮らしても良いですか?』


「一緒にって大丈夫なの?」


『はい!私には家族もいませんし、集落からも離れているし、配給もされてなくて、集落と殆ど関わりがないので、今までとあまり変わらないので全然平気です!』


「いやいや・・・そっちじゃなくて!」


どうしてこの子は悲しい過去しかないんだって位にポロッと暴露される内容が聞いてるこっちの方が(つら)いし泣きたくなるよ!っていうか妖精?の配給ってなんだろう?ちょっと気になるな。しかも完全に隔離というか無視というか・・・可哀想だ・・・いい子なのに。ちょこちょこと出てくる内容に驚きつつ一応確認をしてみた。


「君は人間が怖くはないの?憎んでないの?」


『怖い・・・?憎む・・・?』


頭に両手を置いてしゃがみこんで、う~んと唸っていたが暫くするとピタッと止まった。


『今までは人間って怖いと思っていましたがユウ様を最初は怖かったのに今は怖くはありません・・・なせでしょう?』


いや知らねーし!っていうか聞き返されるの?逆にどうすればいいんだよ俺は!選択肢とかなきゃ分からねーよ。


「・・・とりあえずその答えは俺には出せないけど怖くないならいいんじゃないかな?」


『そうですね・・・ではこれからよろしくお願いします』


ペコリとお辞儀をして可愛く笑っていたが俺には確かめないといけない重要なことがまだある!・・・それは・・・


「なぁ・・・。聞きたいことがいくつかあるんだが・・・」


『はい』


真剣な顔でじっと見ながら口に手を当てて言いにくそうにする悠の姿に何か重大なことか大切な決まり事などがあるのかもしれないと妖精?は無意識に体に力がはいる。


「君は・・・妖精なのか?」


ーーーーーズコッ・・・ガンッッ!!ーーーーー


真面目な顔して聞かれた言葉が予想外過ぎて思いっきりコケて頭を打ち付けて痛みに耐えていた。



「なにやってんだよ?大丈夫か?」


貴方()のせいだ!と言いたくなった衝動と痛みに耐えながら妖精?は悠の質問に答えた。


『今さら何でそれを聞かれてるのか分かりませんが妖精ではないですよ?私たちの種族は精霊科森林属蜜花種です』


「えっと・・・つまりは精霊でいいのかな?」


『そうですね。大まかな呼び名は精霊ですね』


「精霊と妖精ってなにか違いがあるの?」


『精霊は人形ひとがたで会話ができて魔法も自分で使えて妖精は姿が動物や植物などの人形以外で言葉が通じるのが少ない代わりに思考を繋ぐことで意思の疎通ができて魔法も補助するのが主で自分では使えるものは少ないですね』


「人形ではないかぁ~どんな姿のがいるのか見てみたいな」


『私が知ってるのだとうさっとみたいの子とねこっとみたいな子ですね。この近所にいたのでいつか会えるかもしれませんね』


【うさっと】と【ねこっと】ってなんだろう?最初の2文字から兎と猫だと可愛いなぁともふもふな毛並みを思い浮かべていつか会えるのを楽しみにすることにした。


「あとさぁ~君の名前なんだけど・・・これからは芽愛(メイ)って呼んでいいかな?」


『・・・メイ?』


「芽愛ってね、植物の種を植えて出てくる芽に、愛情の愛で芽愛。新たな芽を出し空に向かって伸びる強さと自分と他人を愛し育てられるようにって意味で芽愛ってつけたんだけど・・・ダメかな?」



安易な朱華シュカからちょっと進歩して考えて名付けた名前をとても喜んでくれた芽愛メイを俺は凄い可愛くて仕方ない!!だからちょっと暴走してもいいような気がしてきた!!



悠がこれ以上暴走したらどうなることやら・・・







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ