第50話 完成と歓迎のパーティー
予約時間をミスっちゃいました
「ところで主殿、レニーナが大きな家に連れて行ってもらったと言っていたが、いったいどこにあるのだ? この辺りには一軒家はなかったと思うのだが」
「ああ、ストラスの郊外にあるんですよ」
「ストラス? どういうことだ? あり得んだろう」
ロマリーは混乱している。まあ、普通はそうだろう
「御主人様は特殊な移動スキルをお持ちなのですよ」
「ほう、移動スキルを?」
「まあ、見た方が早いですね、買い物の後で移動しますから、詳細はその時で」
僕たちは、まず布類を売っている店に行き、布団や毛布を買う。ロマリーの部屋にも必要だし、ファーラさんたちには泊まってもらうつもりなので、一応4人分買ってアイテムボックスに仕舞い込む
「主殿はアイテムボックスも持っているのか
しかし、なぜ布団がそんなに必要なのだ?」
「明後日パーティーの予定があるんですよ、お世話になっている人たちを3人呼ぶ予定だったんですよ」
「1人は来ないそうですけどね、ロマリーの歓迎パーティーも兼ねることにしましょう」
「それはありがたい、レニーナに持たせてくれたオートミールは本当に美味しかった。パーティーというからには更に良いものが出るのだろう、楽しみだ」
その後、酒や食材、調理器具等を買い込むと、2人を連れて町の外に出る
「ロマリーもパーティに加わっているな、よし、2つの点よ、時間と空間を越えて1つとなれ『ワープ』」
僕ら3人はその場から消え、僕らの家へと移動した
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「おおおおお、凄い」
ロマリーが驚いている
「まさか長老様と同じ『ワープ』のスキルまで持っているとは…本当に底知れぬお方だな、主殿は」
…と、思ったらどうやら長老様もワープ持ちらしい
まあ、ギフトスキルなので、持っている人もいるだろう
「シーナちゃん、ロマリーを案内してあげて、ロマリーも好きな部屋を選んでおいてね、後で布団を入れておくから」
「私の部屋もあるのか…奴隷になりに来たはずだったのだが」
奴隷は大部屋で雑魚寝が一般的らしいのだが、僕の家ではそんなことはしない
彼女たちを大切な仲間だと思っているからだ
「さてと、じゃあ夕食を作るかな」
石釜に入れておいたパンがよく乾燥していたので、砕いてパン粉を作り、叩いて柔らかくしたチャージボアの肉に小麦粉、溶き卵をつけてパン粉をまぶし、フライパンで揚げ焼きにしてトンカツ(猪カツ?)を作る
これが今日の夕食のおかずだ
ベジタリアンのイメージがあるエルフだが、さっき尋ねたところ、ロマリーは肉食OKだそうだ
好評だった夕食の後、グリーンバードを捌き、ガラを煮込んでスープを作っておく
パーティー料理のベースにする予定だ
シーナちゃんとロマリーは洗い物をした後、一緒に温泉に入っていた
もう仲良くなったみたいだ、部屋も隣同士にしていたし
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翌日も翌々日も同じように僕はパーティーの準備をし、シーナちゃんは依頼を受け、ロマリーはシーナちゃんのサポートをする
そして約束の日の夕刻、僕は料理を完成させる
白身魚のフライ、トマトソースで煮込んだミートボール、グリーンバードの胸肉を茹でて裂いた棒々鶏もどき、グリーンバードの唐揚げ、フライドポテトなどを作った
フライドポテトは細切りにしたカリカリ版、拍子木切りにしたホクホク版、皮つきのままくし切りにしたもの、ポテトチップスの4種類ある。さすがにポムスフレ(中空になったフライドポテト)は作らなかったが
野菜料理も生のトマトやピクルス、スティックサラダを用意し、ピッツアもマルガリータ(トマトソースとチーズとバジルのみのシンプルなピッツア)と具だくさんのやつの2種類を用意する
これで準備万端だろう
あとはファーラさんたちを待つだけだ
次回タイトル予告
パーティーと温泉
用語解説
祝福
地球人とユピトアース人の唯一にして最大の違い
ユピトアース人は17歳前後になると祝福を受け、レベルが上がるようになり、スキルを得ることができる
早ければ15歳、遅くても19歳までには必ず祝福を受け、同時に職業も決まる(神殿や教会に行けば転職も可能)ただし、エルフだけは例外で、寿命が長い分祝福を受ける年齢も遅い(34歳前後が多い)
必ず起きていて意識がはっきりしている時に祝福を受けるが、祝福のかたちは人それぞれであり、光に包まれるもの、髪が逆立つもの、一見何も起こらないように見えるものなど千差万別である
この世界では、祝福を受けた時点で成人となるが、いつ祝福を受けるかわからないため、次の誕生日に一緒に祝うことが一般的である
ちなみに祝福を受ける前の人を鑑定すると、レベル0と表示される




