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プロローグ5 現世との別れ

ようやくプロローグが終わりました

「転生まであと5分といったところかな

お別れになる前に餞別を渡しておくよ」


「餞別?」

「そうだよ、両手を出して」

「こう?」


僕は両手の平を上に向けた

すると虚空から見たこともないコインが出現し、手の上に落ちてきた


「これは?」

「あちらの世界でのお金だよ

1枚づつ全種類ある

確認しておくことだね」

「ああ、ありがとう…って

これ白金貨?!それに大金貨だよね?

いらないよこんなに」


合計111万1111G

日本円で1億1111万1100円

高校生の上、小市民の僕には目の眩むような大金である


「そう言われてもね

今までの転生者みんなに

それだけ渡したんだよ

君にだけ渡さないわけにはいかないよ」

「それでもこんなには貰えないよ

第一僕みたいな子供がこんな大金を持ってたら

疑われて捕まるか

強盗に狙われるかのどっちかだよ」


「確かにそうかもね

だけど、地球の神であるボクには

あちらの世界のことを『知ること』はできても

『送り出す』以外の干渉はできないんだ

最後のプレゼントとして受け取ってくれないかな?」

「だからそんなには…

そうだ!たしかお布施をすればスキルポイントが貰えるって言ってたよね?

じゃあ神様にこれだけ渡すから

ポイントに還元してくれない?」


そう言って僕は金貨、大金貨、白金貨を神に捧げた


「え……

君という人は……

なんて素晴らしい人間なんだ」

「えっ?」


「初めてだよ…

こんなに欲がなくて信心深い人間は」


「いや、なんか感動してるとこ悪いけど

そんなんじゃないから

ポイントが欲しいだけだから」

「その上謙虚なんだね

じゃあ111ポイント…

半端だからサービスで120にしておくよ」


「いや嬉しいけど、本当に違うから……」

「みなまで言わなくていいよ

ボクは本当に感動したんだ

ついでだからもう1つ願いを叶えてあげるよ

時間がないから手短にね」


「いや、いきなりそう言われても…


じゃあ、最後に家族と幼なじみにお別れが言いたいかな」


「本当に欲がないんだね

お安いご用さ

夢枕に立つ形でいいよね?

君がここから消えてあちらの世界に転生するまでの間に、その時間を作っておくよ」



「あ、うん、ありがとう…これで心おきなく転生できるよ


ん?…あ、足が…」


話をしている間に僕の両足が消滅し、腰、腹、両手とどんどん消えて行く


しかし何故か立ち続けているし

不安な気持ちすら湧いてこない


「お別れだね

最後の忠告として言っておくよ

あちらの世界は魔法もモンスターも実在する世界だ

君にはファンタジーに思えるかも知れないけど

幻想でなく現実だ

気を抜けば本当に死ぬよ」

「うん、色々ありがとう

短い付き合いだったけど

本当に感謝してる」


「送り出した後は、ボクはもう君に干渉できない

だけど君の幸福を願っておくよ」

「さようなら。神さ…」


全て言い終わる前に、僕の身体は消滅した





□■□■□■□■□■





「…紗那」

「えっ明?明なの?」


僕は両親、姉との別れを済ませた後、最後に幼なじみの紗那の夢枕に立った


「目が赤いよ、相変わらず泣き虫だね」

「馬鹿っ…あんな死に方をして……

友達があんなことになったら誰だって泣くわよ」


「あんな死に方か…

神様もびっくりするくらい不運な死に方だったらしいね」

「………私、変…変だよ…

一杯言いたいことがあったはずなのに……

何も言葉が出てこないよ…

死なないでよ…

帰って来てよ明…」


「それは無理なんだ

父さんと母さんと姉さんにも言ったけど

僕はあちらの世界で生きて行くから、心配しないで欲しい」

「あちらの…世界…?」


「うん、あ、そうだ

僕の部屋の机の引き出しに僕が書いたレシピ集がある

形見にあげるよ」

「馬鹿っ、本当に馬鹿…

こんな時まで料理のことばっかり…」


「お別れだよ紗那

もう会えないけど、僕は元気でやって行くから

君も元気でね」

「明、行かないでよ、あきらぁ…」

「さよなら、紗那」





□■□■□■□■





僕は頬に風を感じて目を覚ました

いつの間にか草原で寝ていたらしい


「転生…したんだ」


子供や赤子になるのでなく

17歳のまま転生したようだ


改めて自分の姿を見ると、あまり肌触りの良くない、薄い黄色の服を着ていた

おそらくこれがこの世界の一般的な服装なのだろう


「少し寒いな、まずは人里を探そう」


そう考え、周りを見渡すと50メートルほど離れたところに集落らしいものを見つけた

おそらく神が言っていた『スターハ村』だろう


小走りでその村に入った僕の目に飛び込んできたのは……

血を流して倒れている、幾人もの村人の死体だった

ようやく転生できました

転生しただけで終わりましたが


次回タイトル予告『神の言葉』



用語解説

ユピトアース


異世界にある、地球とよく似た惑星で、月が2つあるのが特徴


大きさは金星ほどで、重力は約0.9G、自転周期は24時間、公転周期は360日


大気に魔力素マナが含まれるため、魔物や魔法が実在する


また、様々な世界から僅かながら影響を受ける『特異点』でもある



住人は人間ヒューマンだけでなく、獣人やエルフ、ドワーフなどの亜人や魔族なども存在し、暮らしている



ちなみに1週間は6日で

(光の日、火の日、水の日、風の日、土の日、闇の日)

1ヶ月は30日

そのため必ず月の始めは光の日、終わりは闇の日となる

そして5年に1度、いわゆる閏年があり

12月31日がこの年だけ存在し、盛大な祭りがある(この日は曜日がなく、空白の日、または大祭の日と呼ばれる)

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