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第36話 ギルドマスターの実力

死ぬほど忙しい年末年始でした


まだ忙しいことは変わってませんが

執筆は再開できました

「どうしてわざわざストラスに行くんですか? 」


当然の僕の疑問にドレークさんは、心底嫌そうな顔をすると


「そりゃあ、誘わないと怒る人がいるからだろうが」


意味がわからない僕に、


「ナディアさんだよ

見た目だけじゃなくて性格も若いんだよ、あの人は

今まではよかったんだが、お前のスキルを知っちまったからな

誘わないと暴れるかもしれん」


「まあ、そういうことでしたら」


僕とドレークさんは、門からイーヴァの外に出ると、『ワープ』でストラスへ飛ぶ


町の出入りはチェックされているので、少しでも門番の人などに怪しまれないためだ




■□■□■□■□




「俺はイーヴァとアワインのギルドマスタードレークだ

ナディアさんはいるか?」


ストラスの冒険者ギルドに入るやいなやドレークさんは受付に声をかける


案内しようとする受付嬢を片手で制すると

僕がつい昨日入ったばかりのナディアさんの部屋に向かう



「ほう? どうした? 珍しいなドレーク」


「いえ、実は……」


ノックをして入室許可が出ると、ドレークさんたちは会話を始めた


「…なるほどな、その山賊のことは聞いたことがある

私に助太刀して欲しいのだな? 」


「はい、この時間は手の空いた冒険者が少ないですから

まあ、俺とアキラとストライヴァ家の者がいれば大丈夫だと思うのですが」


「いや、戦いには万一がある

それに噂のアキラの実力も見てみたい

私も参加しよう

…ふふ、腕が鳴るな」


「って、『それ』は止めてくださいよ」


ナディアさんが、壁から取ろうとした弓を見て

ドレークさんが必死に制止する

疑問に思って鑑定してみると…


『魔弓スナイプ

レアリティ アーティファクト


攻撃力 250

スロット 6 限界値 6


スキル

① 不破

② 攻撃力上昇

③ 射程距離上昇

④ 貫通力上昇

⑤ サイレント

⑥ 視力補正 』


(……なんつー廃装備だ

山賊相手だと苛めにしかならないよ)


ナディアさんは、その弓をアイテムボックスに仕舞い(結局持って行くらしい)別の弓を持ったが、それも攻撃力が100を超える強力武器だった





■□■□■□■□




『ワープ』で再びイーヴァに飛び、アジト攻略の準備をする


僕たち4人、偶々暇だった3人の冒険者、そしてストライヴァ家に仕える5人の兵士が向かうことになった


ジェイス様は残念ながら留守だったのだが、腕利きの5人が代わりに来てくれたそうだ


合計12人と少ないが、山賊たちの会話から

残りは17〜20人と推測されるので、妥当なところだろう

一騎当千のギルドマスターが2人もいるので、戦力的には不安はない


約2時間の行軍(ワープは使わない方が良いと言われた)の中で

基本的な作戦を立てながら進む


「丸太を立てて壁にしているんだったな

高さはどんなもんだった? 」


「3〜4メートルくらいでした」


「広さは? 」


「20メートル×30メートルくらいだったかと」


「入り口はどうなっていた? 」


「東西に1つずつです」


「よし、ならば私がフォローするからドレークが突撃しろ

他のメンバーは出入り口を塞いで、逃げて来た奴らを捕縛してくれ

抵抗するなら殺しても構わん」


僕の感覚では自殺行為にしか思えないが、自信と信頼があるのだろう

異を唱える者はいない


山賊たちと戦った場所を越え、山道に入り、アジトを目指して進んで行き

日が暮れるよりもかなり前にアジトに到着した



■□■□■□■□





「オラァ!! 」


ドレークさんの大剣での攻撃が、アジトの壁に大きな切れ込みを入れる


櫓の上にいた見張りは、ナディアさんの矢に射抜かれ、既に戦闘不能になっている


「…む、そこだっ! 」


ナディアさんは再び弓を引き、壁に向かって矢を放つ


矢は壁に吸い込まれるように消え、壁の向こうから悲鳴が上がる


丸太といってもきれいな円柱ではない

そして先ほどのドレークさんの一撃で、丸太でできた壁全体がひずみ、わずかな隙間ができたのだが


ナディアさんは、そのわずかな隙間に矢を撃ち込み、待ち伏せをしていた山賊を壁の外から仕止めたのだ


2人とも人間業じゃない


「これがギルドマスターの実力…」



その間にドレークさんは、壁をさらに破壊し、通れるくらいの穴を空けると、その中に消えて行く


中から悲鳴が上がり

山賊たちは、まるで狼に侵入された牧場の羊のように恐怖にかられて出入り口から脱出し、あらかじめ足下に張っておいたロープに足を取られて転倒する

あとは剣を突き付けて降伏勧告をするだけだ


…あの2人だけでいいんじゃね?

と思ったのは僕だけではないだろう



「てめえらは一体なんなんだよ」


ドレークさんに追い立てられた山賊が泣き言を洩らす


「なんだ、知らなかったのか?

俺はイーヴァ冒険者ギルドのギルドマスター、ドレークだ

で、あそこの女性がストラスのマスター、ナディアさんだ」


その言葉に山賊たちは全員が降伏する


「なんでこんなところに

『破壊の豪剣デストラクションソード』と『災厄の女帝エンプレスオブデイザスター』がいるんだよ…」


「そりゃあギルドマスターだからな

犯罪者を捕まえるのも冒険者ギルドの仕事だろうが」

ドレークさんは僕の方を向くと


「よくやってくれたアキラ

お前のおかげで山賊どもを捕まえることができた

すまないが明日ギルドまで来てくれ、報酬を渡そう」


「はい、ありがとうございます」


「うむ、こやつらがいたせいで

ヒールグラスなどを採取する者が減っていたそうだからな

これでストラスにも薬草が届くようになるだろう

アキラの実力が見れなかったのは残念だが、仕方あるまい」


「じゃあ、山賊どもは任せろ

お前にはナディアさんを任せるぞ」


ドレークさんたちは、アジトの中を確認した後、イーヴァに帰るそうだ


僕たち3人は、少し歩いて離れたところで僕の家に転移した


モルドさんたちをストラスまで送る約束があるので

少しでもMPの消費を抑えるためだ


家にシーナちゃんを残し、ストラスにナディアさんとモルドさんたちを連れて飛び

買い物をして再び家に飛ぶ


「今日は大変だったね」


「はい、御主人様」


「さすがに今日は、ごはんを作る気にならないから

これで済ませるけど、いいかな? 」


買って来たパンと串焼きの肉、デザート代わりのフルーツを取り出す


「はい、いいですよ」


結局今日はヒールグラスの採取はできなかった

また明日頑張ろう

次回タイトル予告

その頃のアリシア

(本編ではなく、閑話となります

説明回の予定です)


また、次回タイトル予告は続けますが、企画の予告はやめます



おまけショート


ナディア『あの手のタイプは、人殺しをしたことで悩むタイプの男だ

それを体を使ってでも立ち直らせるのは女の仕事だ

わかっているな? 』



その夜


シーナ「御主人様、起きてらっしゃいますか? 」


明「シーナちゃん?

どうしたの? 」


シーナ「ナディア様が、御主人様が悩んでらっしゃるかもしれないと仰いまして…」


明「…そっか…やっぱりわかるんだ…」


シーナ「御主人様? 」


明「僕は怖いんだ…

あんな状況とはいえ、怒りにまかせて人を殺してしまった

それなのに平気でいられる僕が…

僕自身が怖くてたまらないんだ」


シーナ「(やっぱり)

御主人様は間違ってません

山賊は死刑か奴隷落ちと定められています

ですから、いずれはああなっていたのです

むしろ御主人様のおかげで助かる人も増えたのです」


明「…そうなのかな? 」


シーナ「そうです

御主人様は優しいお方です

奴隷であるわたしを大切にしてくださいます

今日だってわたしを守ってくださいました


御主人様が悩んでらっしゃるのなら…

わたしが御主人様を癒します! 」


明「…ありがとう、シーナちゃん

僕は誰かにそう言って欲しかったのかもしれない」


シーナ「御主人様、では…」


明「うん、僕はもう大丈夫

明日からも頑張れるよ」


シーナ「えっ? あのう…御主人様? 」


明「シーナちゃん、明日からもよろしくね」


シーナ「はい、それはもちろん…って、そうじゃなくてっ」


明「お休み、シーナちゃん」




シーナ「御主人様の……

ヘタレーっ!! 」

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