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第30話 ドワーフの職人たち

家を手に入れた翌朝、僕はシーナちゃんとイーヴァに飛び、冒険者ギルドに入る


シーナちゃんのランクアップのために、雑用依頼を受けるためだ


ストラスでなくイーヴァなのは、ここには顔見知りのティアさんがいるので、多少のわがままが通るというのが理由だ


「あら、アキラ君とシーナちゃんじゃない

もう帰って来たの? 」


「はい、早速ですが

シーナちゃんに合った依頼はありませんか? 」


「ああ、ランクアップのためね

そうねえ…グリーンバードの納品なんてどうかしら?

危険は少ないし、弓使いなら狩り易いしね」


グリーンバードとは雉に似た鳥であり、肉は美味いのだが、臆病で短距離だが飛べるために、罠や飛び道具で狩る鳥だ


今のシーナちゃんならいい獲物で、『ホークアイ』もあるから見つけることも簡単だろう


「この依頼は3件あるわ

1件は2羽納品だから、4羽狩れば条件が満たせるわよ」


「なるほど、シーナちゃんもそれでいい? 」


「はい! わたし頑張ります」


やる気満々のようなので、ティアさんに依頼書を渡す

「はい、承りました

アキラ君はどうするの?

また薬草採取の依頼があるけど」


「あ、すいません

僕はちょっと用事がありまして」


そう言って僕はギルドを、そしてイーヴァを後にしてストラスへ飛ぶ


そしてストラスの門をくぐり、昨日の不動産屋を目指す

そこならリフォームが得意な職人とコネがあるだろう





■□■□■□■□




「…なるほどな、その湯の湧く井戸を風呂に改造して欲しいと? 」


「はい、お願いします」


不動産屋から紹介してもらった工房には、ドワーフの職人たちが待機していた


「そりゃあもちろん構わねえがな

実際に見てみないと見積りも出せねえ、案内してくれるか?


念のため言っとくが、断る場合もキャンセル料として50G貰うぞ」


「はい、構いませんよ

では早速向かいましょう」

我ながらせっかちだとは思うが、日本人としては1分1秒でも早く温泉に浸かりたい

だから僕は、我が家までの移動時間30分も惜しみ、ドワーフの職人さん(モルドさんというそうだ)に、パーティ登録をしてもらい、『ワープ』で一気に移動した


軽率だったかもしれないが、職人には守秘義務もあるので大丈夫だろう


…モルドさんは顎が外れそうなほど驚いていたが




■□■□■□■□




「…なるほどな、湯の温度は…ならば…熱がこもりそうだな…」


僕の家の温泉を見るなり、モルドさんはぶつぶつと独り言を呟く


「どうでしょうか? 」


「ん? ああ、この館は風呂を作れる設計になってない

傷みが早くなるし、何よりも熱がこもっちまう

今の季節は地獄だぞ」


「そうなんですか…」


「だから外に小屋を建てて、その中に作るといい

値段は少し高くなるが、その方が良いものができる

見積りは…計算するから待ってろ」


僕は、内心ガッツポーズをする

さすがはプロ、最善の手が見えているようだ

温泉も、むしろ小屋の方が開放感があっていいだろう


「結構大仕事になるな

ここからこの辺りまで小屋を建てる

で、ここに湯の温度を調節する槽を作り、実際の風呂はここだ

あとは汚れを沈殿させる槽を作ればいいだろう」


モルドさんは外に出て、指差しながら説明する

思った以上に良いものができそうだ


「では、ここに脱衣場を作ってください

できれば家の中から、直接来れるようにして欲しいのですが」


「いいだろう

見積りは、材料費が3千から4千くらい

人件費は魔法使いを1人雇うとして、6千ちょっとくらいか


合わせて1万Gでどうだ? 」


「はい、それでお願いします」


ファーラさんのおかげで、資金は予定よりかなり余裕がある

魔法も使って建てるのならば、意外と早くできるのかもしれない


「商談成立だな

じゃあ、今日は設計図を作って、明日は資材作り、明後日から建て始めるとして、合計で1週間だな」


「そんなに早くできるんですか?

ありがたいです」


ちなみに、この世界の1週間は6日である


「お前のスキルでここまで運んでもらえれば

もっと早いかもしれんがな」


「もちろん構いませんよ

ただし、一度に僕を入れて最大6人までしか運べませんが」


「それで構わねえよ、じゃあストラスまで運んでくれ

俺らドワーフは足が短いからな、移動は面倒でしょうがないぜ」


「わかりました、では行きますよ

…ワープ」


僕らはストラスへ飛び、工房へ戻ると、カードの預金が1万G以上あることをチェックしてもらい、半分の5千Gを前金として払う


「よし、1週間後を楽しみにしておけ

っと、ついでだから職人を紹介してやる

ボドカ、ブラデン、ちょっと来い」


その言葉に、2人のドワーフがやって来る

既に出来上がっているようで、酒の匂いがする


「この旦那が雇い主だ

挨拶しておけ」


無言で頭を下げる2人のドワーフ

3人を『鑑定』してみると、Str(筋力)、Dex(器用)が異常に高い


頼りになりそうだ


「明です

よろしくお願いします」


挨拶を済ませると、明後日の9時に迎えにくる約束を交わし、シーナちゃんを迎えに行くために町の外に出る


しかし、イーヴァで思ってもみなかったことを、ギルドマスターのドレークさんから伝えられたのだ

次回タイトル予告

2人のランクアップ試験



用語解説

盗賊シーフ


パーティのサポートをするクラス

盗賊と名はついているが、盗みはせず、真っ当な職業


戦闘では牽制役となることが多く、迷宮内では罠感知と縁の下の力持ちポジションであり、癒し手よりも重要視されることも多い


ちなみに、盗みをする盗賊は、悪漢ローグと呼ばれる



自動修得スキル サイレントムーブ (音を立てずに移動できる)


L1 ファインドトラップ(罠を感知する)


L2 リムーブトラップ(罠を解除する)


L3 ハイドボディ(身を隠すことができる)


L4 ドッジフォーム(攻撃がかわしやすくなる。ただし、こちらの命中も下がる)


L5 アイテムピッチ(アイテムを投げるスキル)


L6 レフティー(利き腕ではない腕でも利き腕同様の動きができる)


L7サイレントアクション(音を立てずに行動できる)


L8 サプライズアタック(相手に気付かれていない状態での攻撃時、攻撃力、命中、クリティカル率上昇)


L9 クリティカル率上昇

L10 ベノムアタック(攻撃に、自身で調合した毒を纏わせる。薬草学等と併用することで、より強力で多彩な攻撃ができる)

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