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第26話 騎士から侍へ

正直、僕のテンションはMAXである


折れず、曲がらず、よく斬れて、しかも美しいという至高の武器、日本刀を操る侍になれるのだ

日本人なら興奮するのも無理はないだろう


侍へのクラスチェンジ条件だが

戦士レベルと刀装備はわかるし、一騎打ちはジェイス様との試合だろう、勝利は条件に入っていなかったから敗北でも条件を満たしたということだ


七徳については自分ではよくわからないが、ブレードベアとの戦いで怖れず立ち向かったことが『勇』につながったりしたなどと考えられる


主というのは、侍の語源が、仕え護ることを表す古語の動詞、『さぶらふ』の名詞形、『さぶらひ』から来ていることもあるのだろう

(だから、侍女や侍祭、侍らせるなどの言葉に、侍の文字が使われている)


さらに僕は、刀を鑑定してみる


『同田貫

レアリティ レア

攻撃力 50


スロット ①切断率上昇1(斬撃時、クリティカル率及び攻撃力、部位破壊率上昇)

②不破3(破損率減少)

③空き

限界4


胴田貫とも言われる

田に横たわったものに斬りつけたところ、胴を貫き、田にまで届いたという逸話がある刀』


……凄い、文句なしのマジックアイテムで、愛剣の鋼の剣より上だ

『不破』も、その名に反して壊れなくなるわけではないが、あって損はない


あとは侍のスキルだろう

一度クラスチェンジしないと、確認も成長もできないから、急いでクラスチェンジする必要がある


「…様、御主人様っ」


「…え? な、何? 」


僕に呼び掛けるシーナちゃんの声に、ようやく僕は我に帰った


「おいおい、いきなりボーッとしやがって

戦闘中なら死んでるぞ」


「すいませんでした

思った以上にいい武器でしたから」


「で、どうするんだ?

買ってくれたら、明日から売るつもりだった弓を今売ってやるぞ? 」


店長さんの言葉に内心小躍りしながら、交渉を続ける


「それはその弓を見てみないと…」


「…それはその通りだな」

再び店長さんが奥に消え、手に持って来た弓を『鑑定』してみると



『勇気の弓

レアリティ レア

攻撃力 30

スロット①攻撃力上昇2

②不破2

③射程短化(矢の射程距離が10メートル前後になる)

限界 3


攻撃力が上昇する代償に矢が飛ばなくなるショートボウ』


…絵に描いたようなマイナス効果が来た


「気付いていると思うが、そいつは弓としては欠陥品だ

弓の長所を完全に打ち消してやがる」


それはそうだろう

石を投げたほうが遠くに飛ぶ弓なんか聞いたこともない


「だが、迷宮のなかでは影響は少ない

迷宮では10メートル以上の直線なんて滅多にないからな

むしろ、矢を回収しやすくなる分、有利かもしれん」

この弓で放った矢は、10メートルくらいは普通に飛ぶが、そこを過ぎると急激に速度が減少し、さらに2〜3メートル進んだところで落下するそうだ


10メートルの直線が少ないのなら、回収しやすくなるも何もないとは思うが、普段は現在のミドルボウを使い、迷宮内ではこの弓を使えば問題ないだろう


「そうですね、買います

おいくらですか?」


「2つ合わせて3万5千だが、3万2千にまけてやる、どうだ? 」


僕は即金で払うと、そのまま武器屋を後にした


僕らの武器もかなり充実してきたな




■□■□■□■□




僕は宿でベッドを椅子代わりにして考えている

内容は、新職業侍についてだ


現在の騎士であれ侍であれスキルポイントが足りないので、真価が発揮できないのは確定しているが、中級、上級職だけあって補正が優秀だ


騎士を極めないまま転職するのは惜しい気がするが

僕の戦闘スタイルは、『気配察知』で周りの様子を感じ取りながら敵の攻撃をかわし、『カウンター』を叩き込むというやり方だ


盾を使わず、両手での攻撃で一撃必殺、またはヒットアンドアウェイで隙を作るのがスタイルなので、侍は相性がいい


特にポイント不足で習得できないが

スキル『居合』(武器を収めた状態から1行動で攻撃し、鞘に収めることができ、その場合攻撃力とクリティカル率が上昇する)


『斬鉄閃』(技前後に硬直があるが、硬い対象を切断できる)

など、有効なスキルも多い

防御に向いている騎士よりも、僕には合っているだろう


「よし、転職しよう」


僕は、『クラスチェンジ』を使用し、騎士から侍になった

と言っても、戦士系から戦士系へと変わっただけなので、実感は少ないが


「…明日は家探しをすることにしようか」


護衛、見張り、初めての集団戦をこなした今日は、思ったより疲れていたらしく、僕は眠気に耐えきれずに横になり、すぐに意識を手放した

次回タイトル予告

家探しと両手に花?


用語解説

ストラスの町


ストライヴァ子爵家の本拠地にして港町

近くに迷宮もあるため人が集まり、辺境としては有数の規模で、人口は約5万人、さらに旅の商人や冒険者も集まるため、正確な人口は不明である


潟湖であるストラス湖のほとりにできた町で、本来は漁で生計を立てていたが

迷宮が発見されたことで一攫千金を狙う探索者たちが集まり、立地を生かして港も完成し、短期間のうちにかなりの発展を遂げた


余談だが、ストライヴァ子爵家は、この功績により伯爵になるという噂である

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